(この記事は2023年5月30日に更新しました)
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グランドハンドリングの作業内容とは
グランドハンドリングは航空機到着前準備と出発前準備があり、作業内容には以下のものがあります。
航空機到着として行うグランドハンドリングの作業内容
①航空機到着前準備
②マーシャラー 航空機のブロックイン(到着)
③PBB(パッセンジャー・ボーディング・ブリッジ)操作
④お客様の預け荷物や貨物の取り卸し
◆フォワード(FWD)・アフター(AFT)カーゴドアオープン
◆バルク(BULK)カーゴドアオープン
⑤荷物の搬送及び手荷物返却
航空機出発として行うグランドハンドリングの作業内容
⑥トーバー接続作業
⑦機内清掃
⑧機用品の搭載 フードローダー/ハイリフトトラック
⑨ソーティング作業(手荷物仕分け)
⑩出発便貨物・手荷物搬送および搭載
◆バルクカーゴに搭載する主な手荷物
◆フォワード・アフター・バルクカーゴドアクローズタイミング
⑪プッシュバック
⑫センダー作業員
⑬トーイング
グランドハンドリングとは、通称グラハンとも呼ばれ作業内容は幅広く様々な業務を行い、到着から定刻出発に向けて、荷物の搭載・取り卸し・搬送などを手分けして行います。
飛行機の駐機(スポット)場所や、周辺エリアで作業する場所をランプと言い、ランプで働くグラハンをランプスタッフとも言います。
グランドハンドリングスタッフは飛行機が到着してから出発までの間、チーム全員が一丸となって作業をこなし定刻に出発できるように、裏方作業で重要な役割を担っています。
機側周辺作業 | |
グラハン作業員A | ロードマスター |
グラハン作業員B | 機側作業(搭載・取り卸し) |
グラハン作業員C | 手荷物搬送 |
グラハン作業員D | 手荷物搬送 |
外部周辺作業 | |
グラハン作業員E | 貨物担当 |
グラハン作業員F | 貨物担当 |
グラハン作業員G | 機用品・ドリンク担当 |
グラハン作業員H | ソーティング作業 |
ランプ内は広く徒歩移動では指定するスポットまで時間がかかる為、GSE(Ground Support Equipment)という車両機材に乗車して業務を遂行します。
グラハンが使う主なGSE | |
トーイングトラクター(TT) | |
ベルトローダー車(BL) | |
トラクター(WT) | |
トラクター・トーバーレス車 | |
パッセンジャー・ステップ車(タラップ車)(PS) | |
トラッシュカー(TC) | |
ラバトリーサービス車(LV) | |
ウォーターサービス車(PW) | |
ハイリフトローダー車(HL) | |
デアイシングカー(SNV) | |
フードローダー車(FD) | |
カート・ドーリー・パレットドーリー(非自走) |
全てのGSE車両や社内資格を取得するのに約4,5年は必要とされていますが、グラハン会社の規定や個々のスキルによって変動します。
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GHの仕事①航空機到着前準備
航空機が到着する前までに以下の準備を行います。
- 航空機周辺で作業に必要なGSEの配置
- チョーク…車輪掛け
- GPU(Ground Power Unit)…地上動力設備で地上から電力を送る装置
- VDGS or マーシャラーのスタンバイ…飛行機を誘導するための機械または誘導員
- PBBプリセット…航空機の機種による事前の高さや角度設定
GPU・VDGSの作業内容につきましては、下記の記事を参照ください↓
グランドハンドリングスタッフは飛行機が到着前までに、上記のGSEやチョークをあらかじめ準備しておきます。
飛行機が早着した際に何も準備しておらずマーシャラーも不在で、慌ててスポットを向かったら飛行機が待っていたこともありました…
GHの仕事②マーシャラー
飛行機の誘導する作業員を、マーシャラーもしくはマーシャリングと言います。
マーシャラーとはコックピットクルーに、指定された場所に旋回や徐行等の信号を送り飛行機を誘導するので、非常に遣り甲斐ある作業です。
マーシャラーについて詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
因みに私はマーシャラーに憧れてこの業界に参入しました。
航空機のブロックイン(到着)
航空機が所定のスポットに接近すると、マーシャラーが誘導し定められた停止ラインに駐機後、航空機の前輪タイヤ(ノーズギア)にチョークを施します。
航空会社やグラハン会社によってやり方が異なり、ノーズギアのみチョークする会社もあれば、ノーズ・メインギア(後輪タイヤ)全てにセットする会社もあります。
ノーズギアにチョークを施し後、航空機のエンジンが停止しラインメンテナンス(整備士)の合図の下で作業開始となります。
GHの仕事③PBB(パッセンジャー・ボーディング・ブリッジ)操作
PBBはお客様が搭乗ならびに降機する為に、空港のターミナルに設置された搭乗橋です。
PBB先端部分は可動橋で、前進・後進したりと操作する事が可能で、飛行機の機種によって高さや角度を調節しながら航空機にアプローチを行います。
PBBについて詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
GHの仕事④お客様の預け荷物や貨物の取り卸し
旅客機の場合、預け荷物や貨物は下記のカーゴルームに搭載されております。
- フォワードカーゴルーム (FWD)
- アフターカーゴルーム (AFT)
- バルクカーゴルーム (BULK)
ハイリフトローダー車でフォワード・アフターカーゴルームのコンテナを取り下ろし、ベルトローダー車でバルクカーゴルームにある手荷物・貨物を取り下ろします。
ハイリフトローダー車はコンテナに搭載された貨物や預け荷物を、搭載・取り卸しするための機材です。
コンテナは牽引するドーリーに取り卸して、バゲージクレーム(手荷物受取場)へと搬送します。
ハイリフトローダー車について詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
フォワード(FWD)・アフター(AFT)カーゴドアオープン
お客様の預けた荷物・貨物コンテナを取り下ろすため、カーゴルームをドアオープンします。
ドアオープン操作は簡単でカーゴルーム隣下に操作するパネルが設けられオープン、クローズするためのレバーがあります。
FWD/AFTカーゴドアオープン後、手荷物・貨物コンテナの順にハイリフトローダー車を使用して取り降ろしていきます。
コンテナ搭載・取り卸しはハイリフトローダーの操作盤にあるレバーと、航空機に付随するコントロールレバーを同時に操作しないと、コンテナが搬入できないので難しい作業です。
色んなGSEを乗ってきた中で私にはハイリフトローダー車を扱うのが一番難しく、機体とコンテナが接触するのではないかとヒヤヒヤすることが多かったです。
ハイリフトローダー車は全長が長く、幅も広いため運転には大型免許が必要です。
バルク(BULK)カーゴドアオープン
バルクカーゴドアオープンは機種により操作方法が異なりますが、ドア表面にハンドルがあり、一度ハンドルを引いて矢印が記載されている方向に回すとオープン出来ます。
フォワード・アフターカーゴと比べ、バルクの場合はレバー式ではなく手動ハンドル操作ですが、5回程練習をすれば感覚を掴めます。
バルクカーゴルームから手荷物を降ろす際は、ベルトローダー車というGSEを使用してベルトコンベアに荷物を流して取り卸します。
ベルトローダー車は、コンテナ搭載できないお客様の荷物をバラ積みでカーゴルームに搭降載(とうこうさい)時に使用する車両です。
ベルトローダー車は普通自動車免許で運転が可能ですが、全長が長く前方にローラー部分が突飛してるので急旋回すると、周りの作業員に接触事故が起こる可能性があります。
ベルトローダー車についての詳しい内容は、下記を参照してください。
飛行機の機種によってコンテナ搭載できない機種もあるので、コンテナから荷物を降ろして一個一個搭載するバラ積みで搭載もあります。
グラハンが行うバラ積み搭載に関しての記事は下記のご参照ください↓
バラ積み搭載は特に腰に疲労感を感じるため、重い物を持ち続けるとヘルニアになる原因となる為、搭載時は負担が掛からないように膝を床下につけるといいです!
GHの仕事⑤荷物の搬送及び手荷物返却
飛行機がスポットに到着後、お客様の預け荷物を飛行機のカーゴルームから取り卸し、到着手荷物返却場(バゲージクレーム)まで、トーイング・トラクター(マメタグ)という機材に乗って荷物搬送を行います。
上記の写真は荷物を搭載するコンテナとドーリーを牽引しておりますが、荷物搬送には牽引免許は必要はなく、普通自動車免許のみで運転することが出来ます。
バゲージクレーム到着後は、グランドスタッフに無線で返却する旨の一報をします。
到着ロビー担当さん取れますか?
28便 到着バゲージ搬送です。
はい、28便到着担当です。
長尺(ちょうじゃく)からペット一点返却し、一般バゲージは3番レーンからお返しします。
はい、了解しました。
※長尺とは直線のベルトコンベアーのことで、ペットや壊れ物を一般レーンで返却するとベルトコンベアーから落ちる可能性がある為、取り扱い注意の手荷物は長尺から返却します。
預けた全ての荷物を返却後は折り返し便の出発荷物を搬送するため、ソーティング場まで移動し、出発便に備えてスタンバイをします。
GHの仕事⑥トーバー接続作業
航空機は基本的に後退ができないため、飛行機が自走できるタキシーウェイ(誘導路)までプッシュバック作業をする為のトーバー接続作業をします。
飛行機の機種により、ランディングライトとトーバーを接続する部分が非常に近く、一人
で作業を行うとライトを破損させる恐れがあるので二人以上で作業を行います。
ボーイング、エアバスなどでは構造上の造りが異なるため、簡単にトーバーと航空機が接続することもあれば、接続しにくい場合もあり再度やり直すこともあります。
経験上、何度もトーバー接続を失敗する人は周りから笑われ、私も最初の頃はうまくいかず笑われたことがありました。
次にグラハン作業員の誘導下でトラクターとトーバーを接続しますが、飛行機とトーバーには高さが生じるので、トーバーに備わるポンプで高さ調整を行うことができます。
トラクターとトーバーを接続後にトーバーに付随するタイヤを浮上させて、プッシュバック準備作業が完了となります。
トーバー接続時の注意点として、飛行機の前輪タイヤが動かないように、ステアリングロックアウトピン(REMOVE BEFORE FLIGHT)を、飛行機に挿入する箇所にセットします。
もしステアリングロックアウトピンを失脚しトーバー接続後、操縦室にいるメカニックが誤って操縦ハンドルを動かすと、トーバーが接続された状態でタイヤが左右に動きます。
トーバーが左右に振られ近くにいた作業員が吹っ飛び、負傷をきたすだけでなく飛行機のギアにも損傷を与えてしまいます。
GHの仕事⑦機内清掃
飛行機の機内清掃は、飛行機が到着から出発までの間に行うターンアラウンド時と、全ての運航が完了し深夜ステイするオーバーナイト時の2種類あります。
国内線と国際線で機内清掃作業内容が異なりますが、大人数で作業を手短に完結させなければならず、一人一人がコミュニケーション力と周囲の状況を確認しながら作業を行います。
機内清掃について詳しい内容につきましては、下記をご参照ください↓
時間がない時のターンアラウンド時の機内清掃は、慌ただしく各々が指定された役割をスムーズにこなさないと搭乗時間までに間に合いません。
その分オーバーナイト時は時間に余裕がある為、多少ゆっくりやっても問題ありません。
GHの仕事⑧フードローダー/ハイリフトトラック
機内食やドリンクなど機内物品を搭載する車両を、フードローダー車(ハイリフトトラック)と言い、運転には大型免許が必要です。
フードローダー車は飛行機に装着後、荷台部分が上昇し、ドアオープン後に前便の機内食の始末と新しい機内食の交換を実施し、航空機が大きい場合は4台のフードローダー車を飛行機に装着します。
フードローダー車の詳しい内容つきましては、下記の記事をご参照ください↓
普通の大型トラックと変わりなく、重量があるハイリフトトラック車の場合は20t越えなので、事故しないように常に集中力が求められます。
GHの仕事⑨ソーティング作業(手荷物仕分け)
お客様が預けた荷物を行先ごとに仕分けすることを、ソーティング作業と言い一日に沢山の量の荷物を担当者が確実に仕分けを行い、誤搭載が無いように務めます。
路線や曜日で荷物の量が変動しますが、繁忙期で利用客が多いドル箱路線(新千歳・福岡など)は、300個近く荷物を仕分けます。
ソーティング業務について詳しい内容は、下記の記事をご参照ください↓
荷物は重い物から軽い物・ベビーストローラー・ペット・壊れやすい物など、沢山の種類があるので丁寧に扱いながら迅速に処理を行います。
GHの仕事⑩出発便貨物・手荷物搬送および搭載
グランドハンドリングスタッフ出発作業を行う際はローディングシート(搭載指示書)を参考に出発便の貨物・手荷物の搭載ポジションに搭載します。
LDシートを確認しながら貨物コンテナを搭載後、出発時刻の15分前になると手荷物コンテナが機側に到着し搭載します。
ハイリフトローダー車でフォワード・アフターカーゴルームに出発便の貨物・手荷物コンテナ搭載後、指定されたポジションにしっかりと搭載されてるかチェックします。
一人でチェックすると、搭載の見落としがあるのでロードマスターとローダー(積み荷を搭載したグラハンスタッフ)の二人以上でローディングシートを確認しながらダブルチェックを行います。
飛行機にはウエイト&バランスがあり飛行機が安全に飛ぶ為の重心位置が決められてます。
- 出発便のお客様人数
- 出発便の手荷物・貨物量
- 出発便飛行機の燃料
これらは、毎回状況が変化しロードコントローラーが重心位置を算出して飛行機が安全に飛べるよう、搭載ポジション設定されています。
私の先輩が過去に搭載ポジション間違えてしまい、酷く落ち込んで泣いてる姿を見たことがありました・・・
グラハン課内だけでなく他部署にも影響が圧し掛かり、キャプテンによっては罵声を浴びる可能性もあります。
航空機出発後では確認行為ができず、搭載作業ミスは絶対に許されないので安全に飛行するにはローディングシートを必ず確認しながら作業にあたります。
バルクカーゴに搭載する主な手荷物
バルクカーゴにはコンテナ搭載できない手荷物や貨物などの他、以下のようなものを搭載します。
- ソーティング上(荷物仕分け場)でコンテナに搭載できなかった荷物
- ゲートで発生した荷物
- ペット
- ベビーカー・車椅子
- 乗り継ぎ手荷物
国内線の場合は、チェックインカウンターが出発時刻の15分前にクローズする為、15分前以内に発生した手荷物はバルクカーゴルームに搭載されることが多いです。
出発時刻16分以上ある場合は、預け手荷物をコンテナに搭載して、フォワード・アフターカーゴルームに搭載します。
ゲート手荷物はお客様が搭乗口で預けたいという方が、ゲート手荷物としてバルクに搭載し、多くはベビーカーや車椅子など機内に収納できない手荷物などが該当します。
乗り継ぎ手荷物は到着地ですぐに乗り継ぎ先の飛行機に搬送出来るように、バルクカーゴルームに搭載します。
到着便で稀にコンテナ内に誤って乗り継ぎ手荷物が搭載されてることもありましたが、荷物がありすぎて探すのが大変です。
ペット搭載は空調が効いているバルクに搭載し、ペットゲージが動かないようにベルトで固定します。
長年グラハンをやってきて、1度だけ到着したペットが死んでいたという現象がありました…
後にグランドスタッフ曰く、飼い主はそこで泣き崩れたそうです…
ペットを預ける場合は、チェックインカウンターで同意書を書く必要があるので、この場合航空会社に非はありませんが、担当したスタッフ一同ショックでした。
フォワード・アフター・バルクカーゴドアクローズタイミング
お客様の荷物・貨物コンテナをフォワード・アフターカーゴルームに搭載し、搭載ポジションダブルチェック後、ハイリフトローダー車を離脱させクローズします。
ハイリフトローダー車を離脱時点で出発時刻約10分前ほどです。
バルクカーゴルームは、突然のゲート手荷物発生に備え出発直前まで開けておき、グランドスタッフの指示があるまでドアオープンしておきます。
通常、全てのお客様が搭乗口通過後バルクカーゴクローズをしますが、出発時間ギリギリになってもお客様が来ない事もあり、ドアクローズできないこともあります。
最終的に全てのお客様がゲートを通過して、グランドスタッフから荷物発生が無いと連絡を受けとり初めてバルクカーゴドアクローズとなります。
オールステーション 30便千歳行きはゲート当たりました。
PAX(お客様)トータル250名、インファント(幼児)2名
ゲートバゲージ(手荷物)は2点で、ロードマスターさんクローズお願いします。
はい、ゲートからバゲージ2点でバルクドアクローズ了解しました。
グランドスタッフの指示でバルクドアクローズを行い、ベルトローダー車を離脱してプッシュバックが出来るよう翼端監視員を配置します。
翼端監視員の詳細につきましては、下記の記事を参照ください↓
稀にバルクドアクローズ後に、機内のオーバーヘッド収納に荷物が大すぎて入らないとグランドスタッフからオールステーションで無線が入ります。
焦って報告せずドアを開けると、後ほど整備からお叱りをいただくハメになります。
GHの仕事⑪プッシュバック
飛行機は基本的に後退は出来ないので、トラクターを使用して飛行機をスポットから自走できる誘導路まで押し出す業務をプッシュバックと言います。
プッシュバック作業は難易度が高く、例えるならお客様の荷物を入れるカートを2台連結しながら後退するような感覚です。
プッシュバック中にハンドルをきり過ぎれてしまうと、トラクターと飛行機繋ぐトーバーが負傷し、ジャックナイフ現象が起きてしまいます。
※ジャックナイフとは、牽引自動車が急ハンドルをした時、牽引車と飛行機がが「く」の字状に折れ曲がる現象の事を言います。
プッシュバックにもハンドルを切りすぎる事によって、ジャックナイフ現象が発生するので、この場合は飛行機のメンテナンス作業が発生し出発時間に影響を及ぼします。
そのためプッシュバック作業は、深夜出発便や到着便が少ない時間での訓練を1カ月以上かけて作業を行います。
GHの仕事⑫センダー作業
センダー作業は、航空機が自走できる場所までプッシュバック後にトーバーとステアリングロックアウトピンを解除する作業のことで、従事するスタッフをセンダー作業員と呼びます。
トーバーもそうですが、ステアリングロックアウトピンを装着したままだと、航空機のハンドルを遮断してるため操作が不可能となってしまいます。
翼端監視員からセンダー作業へと移り、トーバー・ステアリングロックアウトピンリリース後は航空機の見送りとなります。
センダー作業についての内容につきましては、下記の記事を参照ください↓
センダー完了後の飛行機の見送りで、お客様からが手を振りかえしてくれる際は本当にエネルギーをもらいます。
GHの仕事⑬トーイング
飛行機の牽引をトーイングと言い、駐機場(スポット)から別の駐機場へと移動します。
トーイング担当をするグラハンは、はじめにグランドコントロール(地上管制)と無線交信を行い、現在のスポットから移動先のスポットまでの移動許可を得ます。
許可後はグランドコントロールによる指示に従って、目的地スポットまでトーイングを行いますが、周りには沢山の航空機や他社のトーイングを行っているので、一つ誤ると大事故に繋がります。
そのため、トーイングを補佐する翼端監視員も一緒にトーイングカー(WT)に乗り込んでグランドコントロールの指示無線をメモするなどサポートします。
グラハンの翼端監視員が行うトーイングフォロー作業は下記を参考してください↓
トーイングとプッシュバックはグランドハンドリングの中でも最も難易度が高い作業で、大型免許・牽引免許が必要となります。
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仕事内容の分業化が進むグランドハンドリング会社の現状とは?
グラハン会社には自社で全ての業務を行ったり、一部作業を委託するなど会社によってハンドリング内容が異なります。
《羽田空港の場合》
- 荷物仕分け作業を行う企業 (サンヨーエアポートサービス)
-
手荷物・貨物搬送を専属で従事する会社 (明和スカイサポート)
- 機内清掃を専門的に請け負うグラハン会社 (コウノイケ・スカイサポート)
- 全ての作業を自社で行うグラハン会社 (羽田タートルサービス)
例えば、お客様がチェックインカウンターで預けた荷物を、仕分けするグランドハンドリング会社Aがコンテナの中に搭載して、搬送作業をグランドハンドリング会社Bがします。
例えば、JALグランドサービスの誘導課の場合はマーシャリング・プッシュバック・トーイングを専属に行い、完了後は別の便へと移動し、マーシャリング・プッシュバック対応を行います。
搭載課は出発便で搬送されたコンテナやカートを航空機に搭載し、到着時は荷物の取り卸し業務を行います。
このように会社毎によって割り振られる業務内容が異なり、自社で全て行う会社もあれば一部業務を委託するグラハン会社があります。
グラハンの作業は幅広く色んな業務に携わるので、沢山のGSE車両の運転と作業に触れることが出来ます。
グランドハンドリング業務は色んな本が出版されておりますが、その中でも私がお勧めするのは航空機のグランドハンドリング [ 日本航空技術協会 ]です。
お値段は少し高いですが、現に私も学生時代はこちらの本を参考に授業を受けてました。
元々は専門学校などでしか取り扱う事しかできない本のため、基本からわかりやすく解説しており、この本一つでグラハンの流れを把握できるので総合的においてコスパ良いです。
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まとめ
今回は、現役グランドハンドリングスタッフが仕事内容について解説しました。
グランドハンドリング歴10年以上の私が結論を言います。
繁忙期のグラハン作業は特に大変ですが、飛行機の安全と定時運航を目指す上でグラハン業務は欠かせません。
グラハンでGSEに乗るための免許や資格も必要ですが、全ての業務を熟し出来るとグラハンを極められ、将来はインストラクターに任命される可能性も高いです。
グランドハンドリングが必要とする資格や免許は以下を参照ください↓
作業内容は会社によって異なりますが、自社で全ての業務を行う会社もあるので、遣り甲斐もあって作業も楽しいです。
もちろんストレスで職場に行きたくない時もありましたが、仕事終わりに空港の展望台でビールを飲みながら、飛行機を眺めてストレス発散をしてました。
空港で働く機会があれば是非、空港で発散できる方法を見つけてくださいね。
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