飛行機の翼端監視員(ウイングウォッチ)がする合図と航空機牽引(トーイング)の補助作業

翼端監視員航空業界

こんにちは、みのるです。

皆さんは飛行機が到着する際に、駐機場(スポット)の両端に立つ作業スタッフを見たことありますか?

 

飛行機の到着・出発時は翼端監視員(ウォッチマン)が必要で、周りの航空機や障害物に当たらないか監視するグランドハンドリングスタッフです。

 

一言で翼端監視員と言ってもイメージが湧かないですよね??

例えば・・・

 

『翼端監視員の合図ってどんなものがあるの?』

『飛行機の牽引する時も翼端監視員を配置する理由は?』

『翼端監視員(よくたんかんしいん)って何か特別な資格が必要なの?』

 

など、グラハン業界に携わらない人からしたら、分からないですよね?

私もグラハンをやるまでは、翼端監視員がどんなことをするかよくわかりませんでした。

 

 

簡単に言うと・・・

翼端監視員の任務は、クリアランス(安全)が取れた時に、飛行機を操縦するパイロットやコーパイに向かって、右片手を上げて👍合図を出し、左手は左右に動かします。

飛行機の牽引する時は、牽引する運転者席からでは飛行機の後方部分見えない為航空機同士や障害物に接触しないよう翼端監視員を配置します。

重要な任務である翼端監視員は、主な資格は必要ありませんが社内資格が必要です。

 

 

この記事では、実際に翼端監視員やトーイングサポートでの業務に携わった私が

・グランドハンドリングスタッフがする翼端監視員

・グランドハンドリングスタッフが行うトーイング

・グランドハンドリングスタッフがトーイング作業する上で大切な事!

・トーイング完了後にする確認事項!

 

について解説します。

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グラハンが行う翼端監視員(ウォッチマン)とは

飛行機

グランドハンドリングスタッフとしての業界に入ると、初めてやるのが翼端監視員です。

人によっては、ウォッチマン・ウイングウォッチとも言います。

 

飛行機を操縦するパイロットとコーパイからは前方・左右は見えても、後方確認は出来ない為、操縦席からでは視界が悪いのです。

つまり、一番長い翼の端を監視する上でウイングウォッチを配置させます。

 

飛行機の左右にある主翼(しゅよく)部分が、一番突飛してるので、周りのGSE機材(車両機材)や他の航空機と接触がないか確認し、コクピットに合図を出します。

 

では、翼端監視員の合図の種類ついて次に解説します。

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旅客機に向けての翼端監視員の合図

翼端監視員

 

翼端監視員の合図は、大まかに3種類あります

・クリアランスOK合図

・スタンバイ合図

・緊急停止合図

順番に解説します。

クリアランスOK合図

冒頭でもお伝えしましたが、飛行機が到着する駐機場に障害物等がなく、安全に支障がなければ右片手を垂直に上げて👍合図を出し、左は左右に動かします。

これはクリアランスが取れており、駐機場に入って問題ないという合図となります。

キャプテンによって翼端監視員に理解したことを合図する為に、👍を返して下さる方もいます。

 

飛行機が駐機場に入ると同時に、翼端監視員はマーシャラー(飛行機の誘導員)に向かってクリアランス合図を出します。

スタンバイ合図

スタンバイ合図は、両腕を45度に伸ばした状態で、パイロットやコーパイに一時停止して頂くための合図となります。

イメージとしては、緑色のベストを着たチョークマン↓です。

※チョークマンとは、飛行機の誘導員に対して停止ラインの場所を補佐したり、飛行機駐機後タイヤにチョーク(車輪止め)をかける人のことです。

 

例えば、前便の出発機が駐機場から完全にスポットアウト(駐機場から出れてない)されていない場合や、プッシュバックしてる最中でクリアランスが取れてない時に使います。

この場合、翼端監視員が飛行機の操縦席に向かってスタンバイ合図をだし、問題がなければクリアランス合図へと切り替えます。

緊急停止合図

緊急停止合図は、両腕を上にあげて大きくバイバイするイメージです。

翼端監視員で緊急停止合図をかけることは滅多にありません。

 

どんな時に行うかというと、翼端監視員がクリアランス合図を出している最中に、車で走行する人が、駐機場をいきなり横切ったりした際に発令します。

他にも、強風時に大きなゴミ袋が駐機場に飛んできた場合など、航空機のエンジンに入る恐れがある場合は、緊急停止合図かける時もあります。

 

私はグラハン10年以上行ってますが、ウォッチマンが緊急停止をかける姿は、あまり見たことがありません。

 

ここまでは合図の解説しましたが、

次はトーイングとプッシュバックの違いに解説します。

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トーイングとプッシュバックの違い

トーイング

トーイングとプッシュバックを誤解をする方がいます。

トーイングとは一言で言うと、飛行機を牽引することで、駐機場から別の駐機場へ飛行機の牽引する作業のことです。

 

プッシュバックはスポットから航空機が自走できるタキシーウェイ上(誘導路)まで、押し出す作業を言います。

 

トーイング・プッシュバック共に翼端監視員は必要です。

トーイングが発生する理由

トーイングが発生する理由は、航空機が深夜駐機する場合に、

 

固定スポット(PBBありスポット) ⇒ 沖スポット(PBBなしスポット)

 

移動させ、翌日の早朝便の出発時刻までに

 

沖スポット ⇒ 固定スポット

 

に飛行機の移動を行います。

 

 

例えば、ある航空機が固定スポットに到着して深夜駐機する場合、このあと到着する飛行機が固定スポットを利用する時は、沖スポットに移動させる必要があります。

 

『だったらはじめから固定スポットでなく、沖スポットに直接駐機すればよいのでは?』

と、疑問に持たれますよね?

利便性とコスト面を考慮すると、沖スポットよりも固定スポットの方が優れているのです。

 

沖スポットの場合、バスに乗ってターミナルまで移動する所要時間が生じ、バスを利用する料金も航空会社側の出費となります。

出発・到着時は固定スポットを利用した方が航空会社にとって割が良いのです。

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飛行機をトーイングするための準備方法

飛行機 トーバー

※今回は、トーイングトラクターを使用した設定で解説しますが、トーバーレス・トラクターの場合はやり方が異なりますので、あらかじめご了承ください。

 

トーイングを行う時は下記の3人で行います。

・車両運転操作をするタグマン

・飛行機の操縦席で緊急時に停止できるする為のブレーキマン

・翼端監視員

 

プッシュバック同様に、ノーズギア(タイヤ)が動作しないためのステアリングロックアウトピンをセットし、航空機にトーバーとトーイングカー(車両)を接続します。

トーバーと車両を接続の仕方はグランドハンドリングってどんな仕事?経験者が教える到着・出発業務内容に詳しく記載してますのでご残照下さい。

 

 

トーイング中は航空機に電力が必要の為、GPU(地上電源)の接続のまま状態は牽引できないので、トーイングトラクターに付随してるGPUを航空機に接続します。

GPU・APUに関しては空港の地上電源GPUと飛行機の補助動力装置APUの役割と違いについてもご参照ください。

通常GPUは115V・400Hzの交流周波数と決められており、電力が一定の数値まで到達してから供給開始となります。

 

これでコックピットに必要な電力が供給され、ブレーキマンはトーイングの為のセットアップ(準備)を行います。

全ての項目を確認後に、パッセンジャー・ドアを機内にいるブレーキマン立ち合いの元でクローズを行いPBBを離脱します。

PBBに関しては空港のPBB(パッセンジャーボーディングブリッジ)の構造と操作の仕方!をご参照ください。

 

また、タグマンと翼端監視員は

・機体の外周点検

・傷や凹み

・オイルリーク

・周りのゴミの有無

の確認をし、最後に飛行機のタイヤにかけたチョークの回収を行います。

このチョークはトーイング先の駐機場で使用する為、トーイングカーに搭載します。

 

次にトーイング開始時の翼端監視員について解説します。

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トーイング対応時の翼端監視員

フィリピン航空

翼端監視員は指定の場所にスタンバイし、タグマンが管制塔と更新後に、トーイングカーの上に付随する黄色回転灯が点灯します。

 

周りに障害物や走行する車両に影響がなければ、翼端監視員はクリアランスOK合図をタグマンに向かって出します。

翼端監視員はタクシーウェイライン(誘導路)の場所を、タグマンに示すように合図またはライトで示し、タグマンは誘導路に向かって舵を調節します。

 

翼端監視員の重要な点は、運転するタグマンから見える位置に立って合図することです。

タグマン側からでは目の前が航空機で視界が悪く、翼端監視員が常に確認できる場所にいることで安心感を持たせます。

航空機がタキシーラインと並行になり、トーイングカー停止後に翼端監視員は車両に乗り込み、別の駐機場へと向かいます。

 

トーイング中のタグマンは、グランドコントロール(地上管制)とコンタクト取りながら、指定されたルートで運転するため忙しいです。

トーイング中の翼端監視員は、トーバーの接続部分、他の航空機とのクリアランスに問題ないか確認と同時に、グランドコントロールの内容をメモします。

指定された駐機場に近づき、航空機の垂直翼(後方の翼)がスポットまで入ると、翼端監視員は車両から降機し、指定された停止ラインまで誘導を行い車両を停止させます。

 

次にトーイング完了後の作業について解説します。

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トーイング作業後のウイングウォッチ

ソラシドエア

トーイング完了後、先ほどトーイングトラクターに乗せたチョークをタイヤにかけて、GPUのリリース作業とトーバーを離脱させます。

 

PBBがない沖スポットでは、タラップ車もしくは、非自走のステップでパッセンジャー・ドアーに装着させ、ブレーキマン降機後再度ドアークローズを実施して離脱します。

タラップ車に関しては飛行機に装着する階段付き車両はタラップ車!エスカレーターもあるって本当?をご参照ください。

 

トーイング完了後、機体に破損や不具合がないか外周点検を行い、ステアリングロックアウトピンの回収をして終了となります。

 

通常ステアリングロックアウトピンはトーイングトラクターに常備されているので、機体から離れる時は必ず手元にあるか確認します。

私自身一度回収することを失念し、翌日の出社後上司に呼び出され、担当した3人が厳重注意を受けました。

 

ステアリングロックアウトピンの回収を忘却することは、ノーズギアが操作できなくなるので、大惨事になるほど大きなヒューマンエラーです。

必ずステアリングロックアウトピンの有無は、3人で確認することはマストです。

 

まとめ

今回は飛行機の翼端監視員(ウイングウォッチ)の合図と航空機牽引の補助作業についてお伝えしました。

 

翼端監視員は単純な仕事に思えて、大事な機体を損傷させないよう重大な役割を担っており、状況によって合図も異なります。

 

目の前に航空機がいたり、障害物があった状態でクリアランス合図を出すと、大きな事故に繋がる恐れがあります。

 

トーイング時の翼端監視員は、運転するタグマンに向かって見える位置に立つことや、わかりやすく合図する必要があります。

 

トーイングに集中するタグマンを、補佐役の翼端監視員がサポートし、タグマンを安心させることも大切な仕事です。

 

シンプル作業に見えますが、翼端監視員の業務は事故を防ぐための大切なポジションです。
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