ビジネスジェット機(BJ)のグランドハンドリングってどんな作業?

ホンダジェット航空業界

この記事は2023年5月30日に更新しました。

こんにちは。みのるです。

皆さんは、芸能人や大富豪が利用するビジネスジェットってご存知ですか?

 

これまで定期便のグランドハンドリング内容について解説しましたが、ビジネスジェットにもグラハン作業はあります。

 

『ビジネスジェットのハンドリング作業ってどんなことするの?』

『ビジネスジェットはどんな機種があるの?』

『ビジネスジェット機の作業をする時に大切なことって?』

 

など、普段ビジネスジェットって見る機会も少なく、グラハン作業員が作業してる所も、一般の人はご覧になったことあまりないですよね?

私もビジネスジェットの作業を行うまでは、どんな作業があるか知りませんでした。

 

結論から言うと・・・

 

ビジネスジェットハンドリングは、定期便(ANA・JALなど)で作業する内容とあまり違いはありません。

ビジネスジェットの機種は、ガルフストリーム・ボンバルディア・ダッソー・ファルコンなどがあります。

ビジネスジェットを利用する方は、時間をお金で購入してるので、迅速に対応してお客様を待たせることを回避しなくはいけません。

 

この記事では、実際に様々な機種のビジネスジェットハンドリングを経験した私が

・ビジネスジェットハンドリングの作業内容

・ビジネスジェットの機種の種類

・リポジションハンドリングとは

・羽田空港のビジネスジェットスポットは?

 

について解説します。

スポンサーリンク


ビジネスジェット運航支援会社

グローバル・エクスプレス

ビジネスジェット機の運航をサポートする会社は以下の通りです。

 

  1. 株式会社アイ・エー・エス・エス
  2. インターアビエーション・ジャパン株式会社
  3. 株式会社エアロワークスインターナショナル
  4. マイナミ空港サービス株式会社
  5. JAPAN AVIATION SERVICE株式会社
  6. 株式会社ノエビアアビエーション
  7. 株式会社ユニバーサルアビエーション
  8. WAB株式会社
  9. 朝日航洋株式会社

 

自社でグランドハンドリングをする会社もありますが、基本的にPAX(お客様)やCREW(乗務員)の補佐をするため、グラハン業務は委託されることが多いです。

ビジネスジェットのグラハン業務を請け負う会社

ビジネスジェットハンドリングを行う会社は以下のような会社が請け負ってます。

 

・JALグランドサービス

・羽田タートルサービス

・日本空港テクノ

・CKTS

 

などのグランドハンドリング会社が業務を請け負います。

スポンサーリンク



ビジネスジェット機の機種

グローバル・エクスプレス

ビジネスジェットの機種は以下のようなものがあります。

ガルフストリームG280
G500
G550
G600
G650
G650ER
ボンバルディアグローバル5000
グローバル5500
グローバル6000
グローバル6500
グローバル7500
グローバル8000
ダッソーファルコン900LX
ファルコン2000LXS
ファルコン6X
ファルコン7X
エンブラエルレガシー650E

乗客数は機種によって異なりますが、最大で20人以下まで搭乗ができます。

 

次にビジネスジェット運航支援会社から送られる依頼書について解説します。

スポンサーリンク


ビジネスジェット・グランドハンドリング依頼書

ダッソーファルコン

ビジネスジェット運航支援会社から、グラハン業務を依頼する委託会社に、以下のような作業内容が記載された依頼書が送付されます。

 

◆作業内容

  • マーシャリング
  • PAXバゲージ(預け荷物)搬送
  • PAXバゲージポーター作業
  • water作業
  • Lavaroty作業
  • CREWバゲージ作業
  • CREWバゲージポーター作業
  • プッシュバック・トーイング作業
  • ※リポジションハンドリング作業

◆乗客人数、乗員数

◆機種・機番・オペレーションカンパニー

◆到着・出発スポット など

 

通常グラハン作業員3~4人で、役割分担を決めて作業を完結します。

乗客は1人の時もあれば、15人以上の時もありますが、平均で1便5、6人が多いです。

 

実際にビジネスジェット作業当日は、機側にてエージェント会社とグランドハンドリング会社と現場作業員で最終打ち合わせをします。

作業内容変更は幾度とあるので、変更された最新の内容を所持しなけば、業務に相違点が発生するので、必ず作業の流れを一通り確認します。

 

リポジションハンドリングの詳細は、後の項目で詳しく解説します。

ビジネスジェット機 マーシャリング

ビジネスジェットが着陸すると、指定された駐機場を目指し滑走して、グランドハンドリングスタッフはマーシャリングを行います。

羽田空港では、ビジネスジェットスポットにVDGSが設置されていないため、マーシャリング対応が必要となります。

VDGSに関してはVDGS(駐機位置指示灯)の仕組みを解説!今後マーシャラーはどうなるのかもをご参照ください。

 

また、ビジネスジェットが駐機する場所は、定期便と違って狭く複雑の為、スポットによっては2人でマーシャリングを行うこともあります。

タラップ車の有無

主にガルフストリーム、グローバル・エクスプレスを採用するビジネスジェットでは、

乗員・乗客が乗り降りする折り畳み式の階段(エア・ステア)が、航空機の客室ドアに組み込まれています。

 

よって、PBBやパッセンジャー・タラップ車の準備は必要なく、到着してエンジンカットするとエア・ステアが搬出されます。

バゲージ取り卸し&バゲージ搬送

ビジネスジェットにチョーク(車輪止め)を施した後、最初にお客様のバゲージを取り下ろしを行います。

預け荷物があるバルクカーゴルームは機体後方左側にあり、搬送用の車両を航空機装着後バパイロットがPAXバゲージを降ろします。

バルクルームから地上までは高さ2m程あるため、基本的に二人体制でバゲージを受け取ります。

 

PAXバゲージは乗客数により変わりますが、稀に10人搭乗して100個以上のバゲージが発生することもあります。

パイロットから全てのPAXバゲージが降ろし終わると、完了合図を頂き、グラハン作業員は搬送作業へと流れます。

バゲージを降ろす間に、乗客は既にバスCIQゲートにで向かっているため、グラハンスタッフも速やかに専用ゲートに向かいます。

 

なお、羽田空港・成田空港にはビジネスジェット専用ゲート・ターミナルがあるので、作業員は迅速に搬送をします。

ランプ内は制限速度30kmのため、スピードを加速してランプパトロールをするCABに見つかった場合、その場で強制的に停車させられます。

そうなると、お客様とエージェント会社に多大なる迷惑かけてしまうので、迅速かつ安全作業で行います。

 

専用ゲートに到着すると、VIP客はCIQで手続き際中のため、バゲージを車両から卸ろして、ポーター業務にはいります。

スポンサーリンク



ポーター業務とは

ポーター業務は一言で解説すると、お客様のバゲージを台車で目的地まで運ぶ作業です。

ビジネスジェット専用ゲートからCIQを通過し、到着出口まで預け荷物を作業員が運搬をします。

 

バゲージが多いと、車両から台車まで移し替える時間を要するため、機側離れる前にポーター作業員の応援依頼を、あらかじめ呼んでおくことも視野に入れます。

また、バゲージが沢山ある場合は大型の台車を使用し、少ない時は一般のお客様が使用する空港カートで対応します。

 

CIQ通過時はお客様のパスポート、荷物の中身、観光目的など質疑応答中のため、作業員は基本追い越しは禁止となり、全ての審査が完了するまでスタンバイします。

 

仮に作業員がバゲージを先に通過させてしまった場合、作業員が罰せられます。

なぜならば、荷物の申告せずに通過してるため密輸と同じです。

検査官が良いというまでは、スタンバイは絶対です。

Lavatory作業

バルクカーゴからPAXバゲージを取り卸し後に行うのがLavatory作業です。

作業内容では、汚物や汚水をくみ取るドロップ作業のみの場合や、タンク内の洗浄作業であるフラッシング作業があります。

この場合、運航支援会社がパイロットにコンタクトをとるため、グラハンスタッフは指示された内容を行うだけとなります。

 

機側には車両の誘導の為、作業員2人以上を配置しなければならず、CAB運転試験問題にも記載の通り、車両を航空機に装着する時は誘導員の配置が絶対です。

詳しくはランプパスCAB試験問題(空港内運転許可)の合格ラインはどのくらい?出題内容についてもをご覧ください。

もし、仮に一人で機側残った場合は作業ができず、応援を呼ぶ必要があります。

 

Lavatory作業のアクセスパネルは機種によって場所が異なり、稀にフォワードとアフター汚水用タンクが設置され、1箇所づつ設けられることもあります。

また、胴体下にアクセスパネルがあると、Lavatory車のホースがアクセスパネルに届かない恐れがあるので、極力車両を機体に近づける必要があります。

 

前部・後部に汚水タンクが分かれていても、5~10分程で作業は完了します。

 

CREWバゲージ搬送

Lavatory作業が完了後、CREWのバゲージをバルクカーゴから取り卸します。

CREWバゲージも基本パイロットが取り卸してくれるので、グラハン作業員は受け取り車両に搭載します。

 

ビジネスジェットCREWバゲージも、グランドハンドリング会社が荷物搬送し、ポーター作業まで行います。

CREWが機内チェック・外周チェック・全ての作業が完了後、機側から離れて搬送作業となり、CREWはエージェント会社の車両で移動します。

 

羽田空港ではビジネスジェットCREW対応の場合、国際線ターミナルのCIQで手続きとなるので、CREWバゲージを搬送するグラハン作業員も同時に向かいます。

CREWバゲージポーター作業

CREWポーター作業は、一般の方が利用するターミナルの為、動線を妨げる行為をしてはいけません。

注意すべき点は、税関を通る場所ではルール上CREWご自身でバゲージを載せたカートを押す必要があります。

それ以外の場所は、グラハンスタッフが待機するお車までポーター業務を行います。

 

CREWポーター作業は動線距離も長く、直接空港ホテルまでポーターする機会もあるので、周りのお客様には特に気を付けなければなりません。

 

次にリポジションハンドリングについて解説します。

スポンサーリンク


リポジションハンドリングとは

ガルフストリーム

リポジションとは、スポットから別のスポットに移動することを言います。

冒頭でもお伝えしましたが、ビジネスジェットを利用する多くのPAXは高額な金額支払って、時間を購入しております。

 

羽田空港の場合、ターミナルのオープンスポットに航空機を駐機した場合、バスでおよそ5分程でビジネスジェットゲートに辿り着くことが出来ます。

一方でビジネスジェット専用スポットと呼ばれるN地区からでは、バスで15分~20分程時間を要します。

そのため、ビジネスジェット利用客の立場を踏まえ、国際線ターミナルに近いオープンスポットで乗客を降機後に、ビジネスジェットを専用スポットに移動します。

乗客及び乗客の預け荷物を降ろした後、ビジネスジェットスポットまで自走で移動することをリポジションと言います。

 

リポジションハンドリングが発生すると、最低4人の作業員いないと対応が困難です。

二グループに分かれてオープンスポットにマーシャリング要員と、翼端監視員の作業員の二人スタンバイさせ、ビジネスジェットスポットも同じ人員を配置します。

 

また、ビジネスジェットは小型機なので、マーシャラーの指示で旋回後に自走アウトが出来るので、プッシュバックは必要ありません。

しかしオープンスポットの隣に、他の航空機が駐機した場合は、プッシュバックする必要があります。

なぜなら小型機とは言え、航空機エンジンの後方から排出するジェットブラストの威力は、駐機する航空機に影響を及ぼす可能性があるからです。

 

オープンスポットで出発マーシャリング完了後、ビジネスジェットスポットに向けて自走移動となり、もう一方のグループでマーシャリング対応を行います。

ビジネスジェットスポットは他のスポットに比べ狭く、場所によっては2人態勢のマーシャリングをします。

 

次にビジネスジェットハンドリングする上での注意点を解説します。

スポンサーリンク



ビジネスジェットハンドリング注意点

グローバル・エクスプレス

一番の注意点は、先にもお伝えしましたが作業対応が遅れると、お客様からの苦情が発生する可能性があると同時に、エージェント会社からも注意を頂くこともあります。

 

定期の旅客機だとPAXが300人以上搭乗してますが、プライベートジェットだと10人前後です。

搭乗客が少ない分、時間を購入して利用する方が大半の為、グランドハンドリングスタッフの作業は、特に迅速に対応を行う必要があります。

 

またビジネスジェットの場合は、急な変更点が多々あります。

・到着日時の変更

・時間の変更

・人数の変更

時間ある内の変更依頼は受託不可能もお伝え出来ますが、急遽発生に備えて余裕ある行動や万が一に備えて、事前準備を先読みしておくこともポイントです。

 

次にビジネスジェット専用スポットについて解説します。

スポンサーリンク


ビジネスジェット専用スポット

ダッソーファルコン

羽田空港の場合、オープンスポットとビジネスジェット専用スポットエリアに駐機します。

国際線ターミナルから離れたN(ノベンバー)地区にビジネスジェット専用スポットがあり、年々需要が増えてスポット数も拡大してます。

 

ビジネスジェットスポットは、ガルフストリームやグロバール・エクスプレスなどの小型機が駐機する為、他のスポットと比較すると小さいです。

そのため、車両運転を操作する時は細心の注意が必要となり、急発進・急旋回はNGです。

 

羽田空港ターミナルの屋上デッキからでは、ビジネスジェットスポットの確認は難しいです。

まとめ

今回はビジネスジェット機(BJ)のグランドハンドリングってどんな作業?について解説しました。

 

ビジネスジェット機ではリポジションの発生があるので、出発マーシャラーと移動先の到着マーシャラーの2チームに分ける必要があります。

 

作業内容は定期便とほぼ変わりありませんが、機種によってラバトリータンクのアクセスパネルが異なるので、航空機に車両を装着する場所も変わります。

 

ビジネスジェット機のハンドリング作業は、預け荷物等が少ないですが、とにかくPAXをまたせることは基本的にNGの為、素早く対応します。

特に時間の変更は頻繁にあるので、余裕をもった行動と先を読んだ予測がポイントです。

 

急いで作業すると事故を及ぼす可能性もあるので、ビジネスジェットハンドリングは冷静な対応がとても重要となります。
スポンサーリンク