スポンサーリンク
この記事は2023年5月30日に更新しました。
トーイングトラクター(タグ車)とは?
トーイングトラクターとは、荷物のカート・コンテナなどけん引する為に必要な地上支援車輌で、グランドハンドリングスタッフの愛車です。
トーイングトラクターはタグ車・TT車・マメタグなど、会社によって呼び方が異なりますが、これらの名前で覚えておけば問題ありません!
2008年、私が航空業界のグランドハンドリング会社に入社した時は、トーイングトラクターのことをマメタグと言ってました。
マメタグはコンテナドーリー・カートなど牽引する車両で、時速は30km前後しかでず、けん引時は時速15㎞程しか出ませんが、馬力があって最大6台のコンテナドーリーを牽引します。
コンテナドーリー以外にもパレットドーリー・カートけん引には、マメタグは必須車両です。
空港内の荷物と貨物の大半はマメタグで搬送でき、小型で小回りが利いて初心者の方にも運転しやすいです。
グランドハンドリングスタッフとして入社すると、一番最初に乗る車両がトーイングトラクターです。
小さい車両ですが、機転が利くので私は大好きでした。
スポンサーリンク
トーイングトラクター(タグ車)の種類
トーイングトラクターは大きく分けて2種類あります。
- 小さいトーイングトラクター(マメタグ・TT車)
- 大きいトーイングトラクター(タグ車・WT車)
小さいトーイングトラクター(マメタグ・TT車)
先ほどの項目でお伝えしましたが、小さいトーイングトラクターはコンテナドーリー・カートをけん引をします。
マメタグには、フロントガラスが付いた屋根型のルーフタイプと、オープンタイプの2種類あります。
オープンタイプは視界が良好で、視野を確保する理由もあることから、大手のJALではオープンタイプを採用します。
しかし、雨や雪などは直接影響を受けることにより、風が強い時は目を開けるのも大変です。
ルーフタイプは雨や雪の影響を受けず、ワイパーも備わっており一般の車両と同じ感覚です。
個人的には、夏はオープンタイプ、冬がルーフタイプが良いのですが、企業は基本的に片方タイプのみ採用するので選択はできません。
大きいトーイングトラクター(タグ車・WT車)
一方で、大きいトーイングトラクターは飛行機のプッシュバックやトーイングをするために必要な車両です。
マメタグと比較して車両も大きく運転技術と集中力が必要です。
プッシュバック・トーイングするトーイングトラクターには種類があります。
- WT‐150
- WT‐250
- WT‐500
WTはweigt(ウエイト)の略で、150なら15トン、500なら50トンと略して、会社によってWTや数字で読んだりします。
私が入社した会社では、デカタグと言ってました(笑)
このように、様々な呼び方があるので入社した会社の呼び方が違いますが、一般的にはタグ車と言えば問題ありません。
基本的に、トーイング時は飛行機のエンジンが停止しているため電力も供給されてませんが、WTはGPU(地上電源供給)が備わってる為、トーイング発生時はWTに付随のGPUを使って、航空機に電源コードを接続します。
地上から電源を供給するGPUにつきましては下記の記事を参照ください↓
WTは運転席が2か所あり、プッシュバック時は航空機を前進に押しだし、タクシーウェイ(誘導路)に沿って機体を平行に停止直後、運転席の切り替え作業を行い、もう片方の運転席に移動してトーイング作業を実施します。(WT250・500のみ)
スポンサーリンク
;
トーバレス・トラクター
トーイング専用車両のトーバーレス・トラクターがあります。
WTはプッシュバック・トーイング時にトーバーを使用しますが、トーバーレスはトーバーが不要で、航空機の牽引が可能で時速30㎞で走行できます。(WTは15km)
無線でグランドコントロールと交信する際に、トーバーレスのことを『スピーディー』と呼びます。
トーイングは交信も交えてつつ、タクシーウェイの場所も把握しなければならず誤った方向に行くと、他社のトーイングにも支障きたすのでミスはできません。
スポンサーリンク
トーイング トラクター(タグ車)の運転免許とは?
AT限定でも運転は可能ですが、古い車体によってはMT構造で、現在多くあるトーイングトラクターは殆どがAT車両です。
私としてはATよりもMTの免許取得を推奨します。
なぜなら、大型フードローダー車・ベルトローダー車など、一部のGSE(Ground Support Equipment)機材もMT構造なので、AT限定免許だと運転できる車両も限られます。
グランドハンドリングスタッフで将来飛行機の側で働きたいのであれば、グラハンに必要な資格を事前取得を推奨します。
グランドハンドリングスタッフになるには、最低限普通自動車免許(MT)が必要ですが、様々な機材に乗りたい方は大型免許・けん引免許も必須です。
トーイングトラクターの馬力ってどのくらい?
トーイングトラクター(マメタグ)は約50馬力です。
最大けん引重量は2~4トン可能で、コンテナドーリーをけん引時は4トン以上けん引可能です。
トーイングトラクター(WT-500)は約300馬力です。
大型ジャンボ機(ボーイング747)の大きさでも、WT-500でプッシュバック・トーイングが可能で、ボーイング767の中型機はWT₋250でも可能です。
WT‐150の場合は、ボーイング737・エアバス320など小型機に使用されることが多いです。
スポンサーリンク
トーイングトラクター (タグ車)メーカー
空港で使われるトーイングトラクターのメーカーは以下の通りです。
- トヨタL&F ロジスティクス&フォークリフト (マメタグ)
- 日産(マメタグ)
- 豊田自動織機(マメタグ)
- KOMATSU(タグ車)
- 三菱(タグ車)
- TLD(タグ車)
- Stewart and Stevenson(S&S)(タグ車)
ANA小松空港の日産トーイングトラクター。運転席には「ドーリーブレーキ解除OK?」のテプラ。前にドーリーブレーキ解除忘れて道路にお絵かきしたんでしょうねww pic.twitter.com/NNsVdPtMry
— はみんぐばーど♤ (@FTB2007) September 17, 2018
ANAと豊田自動織機、羽田空港で新型自動運転トラクターの実証実験 https://t.co/ISe6JJgyLZ #ANA #豊田自動織機 #自動運転 #羽田空港 #トーイングトラクター #グラハン pic.twitter.com/U1aT55ksh3
— Aviation Wire (@Aviation_Wire) March 30, 2021
そんなあなたに良いページをhttps://t.co/Ir2E80jvSD
あたくしは背の低いトーイングトラクターが大好きですね。三菱のは運転席が上がるんやで! pic.twitter.com/3J0vLbEhtp— くめん (@kumehn) March 19, 2018
マメタグはトヨタ・日産の比率が多く、タグ車はKOMATSU・TLDを使用する傾向があります。
まとめ
今回はトーイングトラクター(タグ車)とは?免許・特徴など現役グラハンが徹底解説しました。
結論を言います!
トーイングトラクターはグランドハンドリングの作業するにあたって重要な車両機材です。
マメタグ・WTがないと手荷物・貨物の搬送はおろか、飛行機をプッシュバック・トーイングがないとグランドハンドリングの仕事が成立しません。
トーイングトラクターの呼び方は様々ですが、一般的にTT・マメタグ・WTのような呼び方が通常です。
スピードが遅い分、パワーや馬力は他の車両よりも優れてるのがトーイングトラクターのポイントです。
スポンサーリンク