空港の地上電源GPUと飛行機の補助動力装置APUの役割と違いについても

航空業界

こんにちは、みのるです。

今回は、グランドハンドリングスタッフが作業で行う、GPU装着と飛行機に備わるAPUについて解説したいと思います。

 

皆さんは、飛行機が駐機中に停電しない理由をご存知でしょうか?

作業があるから、停電させては業務に支障が出るのは当然のことです。

 

 

では、「どうやって電気を供給しているの?」

 

 

と、疑問に思う方もいると思いますが、駐機中はGPUもしくは、APUが作動してる為、機内が明るいのです。

 

 

でも・・・・

 

・そもそもGPUとAPUって何?

・GPU・APUのそれぞれメリット・デメリットって何?

・GPU・APUの役割って具体的にどんなもの?

 

など、GPU・APUを漠然として言われても、わからないですよね?

私も、グランドハンドリングスタッフになるまでは、GPUとAPUの大まかな違いを理解できず、説明も上手くできませんでした。

 

 

簡単に言うと、

GPUは、Ground Power Unit(グランド パワー ユニット)の略で、地上から電力を供給する役割を担い、携帯の充電器のように外部からの電源供給を行います。

APUは、Auxiliary powerUnit(オキシリアリィー パワー ユニット)の略で、飛行機に備わっている補助動力エンジン充電された携帯のバッテリー(燃料)を使用して発電します。

 

 

この記事では、実際にグランドハンドリングスタッフでGPU作業を行ってきた私が

・GPU(Ground Power Unit)の準備と使用する上での注意点

・APU(Auxiliary power Unit)の役割と使用する場面

・GPUとAPUのメリット・デメリット

について解説します。

スポンサーリンク


GPU(地上電源装置)の役割とは?

地上電源装置

GPUとは航空機がスポット(駐機場)に到着して、駐機中に地上から電力供給する為の装置です。

上記の写真では、男性の方がラダー(はしご)に上がって、黒と黄色のケーブルを航空機に装着してるのがGPUです。

羽田空港や成田空港などの大きな空港では、GPUは地下に備わっており、地方空港だと電源車を利用して飛行機に電力を供給します。

電源車の写真

電源車からのGPU供給

飛行機の機種(B737、A320)などの小型機は、GPUを飛行機に直接接続できますが、中型機以上になると地上から高さがあるので、ラダー(はしご)を使用して接続します。

GPU装着は一部整備作業に分類されますが、グランドハンドリングスタッフの業務であり、ターンアラウンドタイム(便間)が長い時は、GPUを使用する機会が高いです。

 

ターンアラウンドタイムとは以下のことを言います↓

  • お客様の預け荷物の取り卸し・搭載
  • 貨物取り卸し・搭載
  • 機内清掃
  • 燃料補給
  • ドリンクや機用品の補充 など

飛行機が到着してから、出発するまでの折り返し時間の事をいい、便間(びんかん)とも言います。

 

グランドハンドリングスタッフが使う航空用語は下記の記事を参照ください↓

 

GPU装着作業は特に難しい事はありませんが、飛行機が到着する時はAPUが稼働してる為、飛行機がスポットに到着後にAPUからGPUに切り替えます。

GPU装着が遅かったり確実に接続されてない時やなど、APUからGPUに切り替え操作ができず、整備士から怒られるので素早く行う必要があります。

GPUの仕組みや使用するシチュエーションが理解できた所で、次はAPUについてご説明させていただきます。

スポンサーリンク



飛行機の補助エンジンAPUの役割とは

航空機の写真

APUは補助動力エンジンのことです。

全ての空港にGPUが備わっている訳ではなく、一部の地方空港でGPUがない時はAPUを使用して電力を発動させます。

 

飛行機は通常エンジンを稼働させ電力を供給しますが、エンジン停止すると機内に電力の供給ができません。

電力が供給不可能という事はエアコン等も使用できませんが、エアコンはGPUから同様に外部から供給が可能です。

 

グランドハンドリングスタッフがするエアコン供給サービスは下記の記事を参照ください↓

 

エンジンを起動せずに電力を供給出来るのが、補助動力装置の役割を所有するAPUで、航空機の燃料を使用して機内の発電やエアコンを使用します。

 

GPUとAPUが理解できた所で、次は双方のメリット・デメリットについて解説します。

スポンサーリンク


GPUとAPUの各メリット・デメリットとは?

GPUのメリットは、航空機の燃料を使用せず地上から電源ケーブルを通じて、電力の供給が可能なため、運用コストが抑えられ排気ガスもなく環境に優しいのが特徴です。
GPUのデメリットは、ターンアラウンドタイムが長くても、雷注意報(TS)が発令時はGPUを使用ができません。

TSとは、サンダーストーム(Thunder storm)の略で、TS-1~TS-3までの三段階のレベルがあります。

GPU装着中に雷を受けた場合は、電源ケーブル側に損傷をきたし、GPUを管理する本体に影響と発火する恐れが生じます。

各航空会社の規定で若干異なりますが、TS発令もしくは、TS発令中はGPUの使用せず、APU対応が基本となります。

 

APUのメリットは、GPUのような準備作業がいらず、コックピット内の操作一つで手軽に操作出来ます。
APUのデメリットは、大きな騒音と航空機から大量の排気ガスがに排出し、燃料を使用して電力を供給する為、コスト費用が高く環境に良くありません。

GPUは騒音もなく経済性や運用性で考えてもメリットがある為、ターンアラウンドタイムが長い時や、夜中に駐機するステイ便ではGPUを積極的に使用します。

ステイ便とは、最終便の飛行機が到着して一夜過ごし、翌日に出発することです。

 

ステイ便では、便間で行う作業の他に機内の飲料水を全て取り除く作業や、入念な機内清掃、整備士による作業があります。

 

機内清掃に関しては下記の記事を参照ください↓

 

最終便で到着する飛行機は基本的にGPUを使用して、機内作業を行う事が一般的です。

まとめ

今回は、空港の地上電源GPUと飛行機の補助動力装置APUの役割と違いについてお伝えしました。

 

GPU使用時は環境汚染の防止と運用コストを削減できる重要な役割をもっているので、ターンアラウンドタイムが長い時や、ステイ便時での使用頻度が高いです。

APUは、GPUが無い空港や、雷注意発令時の場合を使用し、燃料を使用して機内に電力を供給する役割を持っております。

 

APU、GPU共に一長一短はありますが、現在ではターンアラウンドタイムが短い時も、GPUを率先して使用する航空会社も多いです。

みのる
みのる

どの航空会社も、環境に対するエコ活動と運用コスト削減の為に、小さな取り組みを重ねております。

 

この記事で地上電源GPUと、飛行機の補助動力装置APUの役割と違いについて、少しでも役に立てれば幸いです。

スポンサーリンク