ラバトリーサービスカーの作業手順‼飛行機のトイレタンクはバキューム・循環式タイプの2種類

ラバトリーサービスカー(汚水車)の写真航空業界

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この記事は2023年5月30日に更新しました。

グランドハンドリングで使用するラバトリーカーとは?

ラバトリーサービスカー

ラバトリーカーとは、飛行機のトイレタンクを洗浄する為に、グランドハンドリングスタッフが使用するGSE(地上支援車輌)機材です。
ラバトリーカーの運転には中型免許が必要で、会社が指定する訓練カリキュラムに則り社内資格を取得しなければなりません。

飛行機のラバトリー作業とは?

飛行機のラバトリーとは、洗面所やトイレのことをいいます。

お客様が機内でラバトリーを使用して、タンクに溜まった排泄物をグラハンがラバトリーカーを使用して除去作業を行います。

 

航空機の機種によって、排泄物を収用するタンクの個数や場所が異なり、前方・後方に各タンクが分かれたり、後方だけにタンクが設置されている機種もあります。

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ラバトリーカーの装着と作業手順

航空機のタンク内清掃の為に、ラバトリーカーを後退しながら飛行機に装着し、Lavatory・Toilet serviceと記載されたアクセスパネルをオープンします。

アクセスパネルオープン後、外蓋と内蓋の二段階構造蓋となっており、外蓋を開けると続いて内蓋があります。

内蓋を開ける前に、ラバトリーカーに付随する除去ホースを先に内蓋部分に接続します。
装着がしっかりされてないと除去ホースが外れてしまい、ランプ内に汚物をばら撒くだけでなく作業員も汚水と汚物を浴びてしまうので入念に確認をします。

 

除去ホース装着後、内蓋を解除する為のポッチが隣にあるので解除し、同時に内蓋が開く音がします。

外蓋も内蓋も開いた状態でリリースレバーを引くと、タンク内の排泄物が除去ホースに沿ってラバトリーカーへと流れていきます。

 

タンク内の排泄物を完全に抜き終わったら、次は洗浄作業です。

航空機のラバトリータンク洗浄作業

航空機のタンク洗浄作業は、ラバトリーカー車両後方に洗浄用ホースが収納されております。

 

排泄物タンクの隣に洗浄用ホースを挿入箇所がありフラッシング(洗浄)を行います。

航空機の機種やエアラインによって洗浄規定が異なりますが、1タンク当たり約30リットル程使用して洗浄を実施します。

 

フラッシング完了後は定留水(ていりゅうすい)と言う、タンクの中にお水を溜めて置く必要があります。

定留水を入れることで排泄物がタンクに入っても、水張りの効果でタンク内が汚れや媚びつかないよう10~20リットル程の定留水を入れます。

 

定留水を供給後、全てのホースを航空機の機体から外し、外蓋・内蓋の2段階構造の蓋を確実に閉鎖し、ラバトリーのアクセスパネルを閉めます。

 

全ての作業が完了後、機内のラバトリーにパウダーを投下します。

このパウダーは殺菌と匂いの浸透を防ぎ、香りづけを役割を果たすので、各ラバトリー内の便器に流します。

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飛行機のトイレタンクの仕組み

飛行機のラバトリーにはバキューム式・循環式タイプの2種類あります。

 

バキューム式、循環式では使用するパウダーが異なり、パウダーを入れ間違えてると効果が発揮できず飛行中に臭いが生じ、クレームが出る恐れがあります。

バキューム式ライプ・循環式タイプではやり方に大きな相違はありませんが、一歩間違えると故障の原因に繋がる恐れがあるので、注意しなければなりません。

 

近年ではバキューム式タイプが多くなり、循環式タイプは一昔前となります。

航空機のラバトリー バキューム式タイプ

トイレタンクの中に直接送り込むのをバキュームタイプといいます。

用を足した後に洗浄ボタンで水を流しますが、バキューム式はコップ1杯程で瞬間的に吸い込み、配管を通ってタンクへと流れます。

配管を駆け抜ける速度は約200km/hなので、ラバトリー内の臭気もバキューム式だと一緒に除去できるのがポイントです。

 

流す時に「ゴォーーー」と機内まで聞こえる音は、バキューム式のトイレです。

 

バキューム式の消臭パウダーは、便器から配管を通ってタンクへ流れるので色素がついたパウダーを使用しません。

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航空機のラバトリー 循環式タイプ

循環式タイプは定留水を利用して、水を循環させて何度も同じ水を使用するタイプです。

循環式の場合、水を循環させればさせるほど汚れが目立つので、ブルーパウダーを入れて、水が綺麗なように見せてます。(笑)

 

因みに、汚物はタンクに流れた後、循環しないように仕組みをされております。

 

ブルーパウダーには消臭効果がありますが、バキューム式タイプと比較して古いタイプなのでトイレの利用回数が増えると匂いに限界があります。

そのため、国際線には循環式タイプがあまり採用されません。

 

汚水処理場(プラント)とは?

航空機から除去した汚物をラバトリーカーでくみ取った後は、汚水処理場(プラント)にで廃棄します。

ラバトリーカーの汚物タンクには容量のメモリがあります。

大型便を連続対応すると全ての汚物を除去するのは困難であり、最悪ラバトリーカーから汚物が溢れる恐れがあります。

 

その為、ラバトリーカーでくみ取った汚物を汚水処理場にて廃棄します。

 

羽田空港の場合は、羽田空港の外に汚水処理場があります。

汚水処理場で投棄する際は匂いが漂う為、作業中は常時シャッターを閉めて投棄作業を行います。

ラバトリーカーの投棄手順

 

ラバトリー車の大きさは小型~大型まであります。

車両を汚水処理場に入場させ、ラバトリーカーの大きさによって停止ラインが異なるので、車両に合った場所に駐車させます。

入場後は臭いが外部に出ないようシャッターを閉め、重さを測るために一度計量器にカードをかざします。

 

同時に駐車してるラバトリーカーの床下一部分が開放するので、汚物を投機します。

投機の仕方はラバトリー車に付随している投機用レバーがあるので、引くと勢いよく投機物が流れ落ちていきます。

ラバトリーカーのタンク洗浄

汚物の投機完了後、洗浄用の水の補給と汚物の入ったタンクの洗浄を行います。

ラバトリー車の荷台に乗ってタンク内を洗浄し、作業台や除去ホースもしっかりと洗い流す必要があります。

 

洗浄用の水は汚水処理場の施設側が提供する洗浄ホースの利用が可能なので、これを使用して作業を行います。

 

ラバトリーカー荷台は水浸しで滑りやすいため、横転しないよう注意します。

 

全ての汚物投機及び、洗浄や補給が完了後には投機用レバーを収納して、計量カードを再度計量器にかざして完了となります。

作業完了後は一度、車両を360度チェックしてから汚水処理場を出ます。

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ラバトリーカーを使用した私の経験談

汚水処理場は臭いますが、強烈に臭いという印象はありません。

私が初めて行く前は作業着が汚れそうなイメージで行きたくないのが本音でしたが、現実は全然違ってむしろ行くのが楽しいです(笑)

 

直接私は関わりませんでしたが、ある日の前日に処理した作業員がラバトリーカーの投機レバー収納を失脚し、翌日の初便でラバトリー作業をした所、ランプにまき散らす事案がありました。

結果的に前日処理した作業員と、当日の作業員が360度車両確認をしなかったのが原因となりました。

 

いかに乗車前の車両チェックが大事なんだと身に絞められた瞬間でした。

まとめ

今回は、ラバトリーサービスカーの作業手順‼飛行機のトイレタンクはバキューム・循環式タイプの2種類について解説しました。

  1. ラバトリーカーの運転免許は何が必須なの?
  2. 航空機タンクの汚物はどうやってくみ取るの?
  3. バキューム式・循環式タイプではどっちの方が作業が難しいの?

 

みのる
みのる

結論を言います!

 

  1. ラバトリーカー運転には中型免許が必要となり、会社が指定する社内資格に合格する必要があります。
  2. 汚物タンクは航空機の前方もしくは後方に設置され、ラバトリーカーを航空機に装着後、除去ホースをはめ込みリリースレバーで汚物をくみ取ります。
  3. バキューム式・循環式タイプはどちらもやることは一緒なので、難易度は変わりませんが、最終的に投入するパウダーが異なるだけです。

 

ラバトリータンクは1か所の所もあれば、フォワード(FWD)・アフター(AFT)に箇所が別れているので、機種によってラバトリーカーを再装着しなおします。

作業員によってはホース装着があまく外れてしまい、汚物を被ってしまう作業員がいましたが、テンションが下がり、機嫌が悪くなる光景を目にしたことがあります。

汚物を被ったりしたら当事者の気分はローテンション、周りはハイテンションと笑われてしまうので気をつけなければいけません。

 

汚水処理場は、作業中より作業完了した後の見直しが重要となります。

作業中は臭いが外まで出ないよう考慮し、シャッターを閉めて作業を行います。

 

翌日の作業員に迷惑をかけないよう、担当した作業員が責任をもってチェックをしなければなりません。

慣れてくると段々と作業が疎かになりがちなので、慣れた時こそ基本作業の徹底が不可欠です。

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