飛行機に預け荷物・貨物コンテナを積み込みするハイリフトローダー車

ハイリフトローダー航空業界

こんにちは、みのるです。

今回は、グランドハンドリングの作業の一環で、お客様の預け荷物及び、貨物が入ったコンテナを搭載、取り卸しする業務について解説します。

 

唐突ですが、皆さんはお客様から預かった荷物は、飛行機にどのように搭載されているかご存知でしょうか?

 

 

実際に、飛行機を利用する方で、機内から見た人もいると思いますが、お客様の預かった荷物を直接貨物室に搭載するバラ積み方法と、コンテナに荷物や貨物を収集して、コンテナごと搭載するULD搭載があります。

 

 

でも・・・・

 

 

「全ての飛行機にコンテナを収納する空きスペースなんてあるの?」

「コンテナの数って、どのくらい搭載することが出来るの?」

「ULD搭載する車両を操作するには免許が必要なの?」

 

色々な疑問が浮かんできますよね?

私も、初めてULD搭載の業務を見学するまでは、貨物室の構造が理解できず、難しい作業だとは思いませんでした。

 

 

結論を言うと、殆どの航空機の場合、コンテナ搭載ができ、中型機ではコンテナを約15台、大型機になると30台以上搭載することが出来ます。

ハイリフトローダー車は、全長や横幅も広く、運転操作には大型免許が必須となります。

 

 

ここでは、実際にハイリフトローダー車に乗車し、ULD搭載を経験した私が

ハイリフトローダー車とは

ハイリフトローダー車に乗車する為の免許・資格

ハイリフトローダー車の乗車前点検

飛行機にハイリフトローダー車を装着

Power Drive Unit: 動力駆動装置

到着ULDコンテナ取り卸し

出発ULDコンテナ搭載

航空機に全て貨物及び預け荷物コンテナを搭載後 

について解説します。

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ハイリフトローダー車とは

ハイリフトローダー車

ハイリフトローダー車は、主にULD搭降載に使用するGSE機材です。

 

ULDは(Unit Load Device)の略で、簡単に言うと、飛行機に搭載するための専用コンテナ及び、パレットの事を言います。

 

お客さまから預かった手荷物コンテナ、貨物コンテナ、パレットをハイリフトローダー車を使用して搭載を行います。

ドーリー

 

 

ハイリフトローダー車は、車両自体がとても大きく、他のGSE機材と比較すると、確認事項が多い車両で操作レバーも多く、高さもあるので、グランドハンドリングの上級車両となります。

※GSE機材とは、空港内や飛行機の作業で、グラハンや整備士が使用する車両機材のことです。

 

 

車体が大きいので、車両通行帯の運転は、カーブを曲がる場所や、交差点での走行時は、曲がる際に後方テール部分が大きく横にブレる為、他の車両に注意しながら運転します。

 

運転席は前方右部分で、地上からはしごを通じて運転操作場へと向かい、車高が高い状態で運転を行います。

 

 

ハイリフトローダー車は全長が長い分、場所によって呼び方が分類されております。

 

・運転する場所及び操作盤がある場所・・・サブデッキ

・コンテナを上下昇降する部分・・・メインデッキ

・ハイリフトローダー車の後方(テール)部分・・・アフターデッキ

 

ハイリフトローダーの荷台は、ULDが流れるように、ローラーがそれぞれのデッキに備わっております。

 

 

メインデッキの操作盤にある操作レバーは約5個あり、手前のレバーから手前のローラーが、動く仕組みとなっており、ULDが流れるように操作します。

 

例えば、航空機からULDを取り下ろす際に、

 

航空機 ⇒ サブデッキ ⇒ メインデッキ ⇒ アフターデッキ

 

の順に、レバー操作しながら作業を行います。

 

 

 

反対に、梱包された手荷物や貨物のULDを搭載する際は

 

アフターデッキ ⇒ メインデッキ ⇒ サブデッキ ⇒ 航空機

 

のようにULDを搭載します。

 

到着ULDを取り卸し後、折り返しの出発ULDを搭載しなければならず、台数が多ければスピードが求められ、確認行為をしないと飛行機に傷を負わせることもあります。

 

私の場合、他のGSE機材よりも、ハイリフトローダー車は特に習得するまでに時間を要しました。

 

 

では、ハイリフトローダー車の資格取得と、必要な免許について次の項目で解説します。

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ハイリフトローダー車に乗車の為の免許・資格

スクート

冒頭でもお伝えした通り、ハイリフトローダー車の運転には、大型免許が必須となります。

 

グラハン会社によって、資格取得順位が異なりますが、自社で全てのグランドハンドリング業務を行っている会社は、入社して約2、3年後にハイリフトローダー車の訓練を行います。

 

約2カ月間程の訓練を経て、独り立ちとなりますが、飛行機の機種を扱う会社が多ければ、機種毎に訓練を行うので、期間も長く掛かります。

 

しかし、基礎さえ学習すれば、飛行機の機種が異なっていても、実施することはほぼ一緒なので、基礎を学習するまでが大変かと思います。

 

 

大手のグランドハンドリング会社の場合は、搭載課に配属となると、入社して早ければ直ぐに訓練を行い、様々な機種に対応できるよう訓練カリキュラムも早いです。

色んな機種の搭載を行う事ができるので、スキル的にも熟練することが大いに期待されますが、その分イレギュラー対応も多く、責任重大な役目です。

 

 

グランドハンドリングスタッフの人が、ハイリフトローダー車の訓練を行う上で、第一の関門だと私は思います。

 

次は、ハイリフトローダー車に乗車する前の、点検についてお伝えします。

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ハイリフトローダー車の乗車前点検

どのGSE機材でも、乗車する前に必ず行うのが360度外周チェックです。

 

ハイリフトローダー車は全長が長く、他の車両に比べタイヤも沢山あるので、釘が刺さっていないか、石が挟まってないか入念に確認します。

 

また、ULDを搭載するローラー部分にも、物が挟まっていないか確認します。

 

 

アフターデッキ(テール箇所)は、車体の外付け左右に、操作できるパネル版があります。

 

 

このパネル版は、蓋つきのため走行中は基本閉めていますが、前の作業員が使用後に開いたまま、現場を離れる事が多いため、走行の際に妨げにならないよう閉めます。

 

車両に施されているチョークをリリースし、エンジンをかけてアウトリガーを収納し、発進となります。

 

続いては飛行機が到着して、ハイリフトローダー車を装着手順について解説します。

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飛行機にハイリフトローダー車を装着

グラハン

飛行機がスポットにプロックイン(到着)し、グラハンの作業員がカーゴドアオープンをするまでの間、カーゴルームに対してハイリフトローダー車を対面できるように調整します。

 

カーゴルームの3m手前でハイリフトローダー車を一時停止し、サブデッキをカーゴルームと同じ高さまで上昇させます。

 

ハイリフトローダー車を同じ高さまで上昇させないと、車体とカーゴルームが真っ直ぐ装着できているか確認しづらい為、必ずサブデッキを上昇します。

 

 

サブデッキを上昇後、周りに作業員がいないか指差呼称を行い、カーゴルームに徐行しながらアプローチします。

 

ここで、飛行機に対してハイリフトローダー車がずれてしまうと、ULDが取り卸し・搭載することが出来ず、作業に支障をきたします。

また、作業員も取り卸し用のULDドーリーを、スタンバイしてる状況なので、装着に失敗時は、直ぐにやり直しを行います。

 

飛行機にアプローチをして、コブシ一つ分の間隔を開けて装着後、不具合がなければ、ドーリーを牽引する作業員にOK合図を出して、ハイリフトローダー車のアウトリガーを張ります。

※アウトリガーを張る際に注意することは、カーゴルームとハイリフトローダー車の高さが、ほぼ一緒のため、接触防止の為にメインデッキを一度下げる必要があります。

 

コブシ一つ分の間隔を開けているから、接触することはあまりありませんが、風の影響で飛行機が揺れ動くので、安全を最優先に行います。

 

 

装着完了後は、PDUの電源ONと操作を行いますが、次に詳しくお伝えします。

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Power Drive Unit: 動力駆動装置

ハイリフトローダー車を飛行機に装着後、カーゴルーム横にアクセスパネルがあります。

アクセスパネルは、フォワードカーゴルーム・アフターカーゴルームそれぞれに設けられてます。

 

パネルを開くと、貨物室のULDを操作するPDU(パワー・ドライブ・ユニット)があり、貨物室内のローラーやストッパーロックを操作できるよう電源ONにします。

 

 

 

ULDを動かす操作するレバーは、前後左右並びに斜めにも操作する事ができますが、正直斜めに操作する事はパレット以外ありません。

 

 

ULDが飛行中に動かないようストッパーロックがされてるので、固定や解除の切り替えも、基本的にPDUで操作します。

 

 

イレギュラーでPDUが使用できない場合、ULD搭降載(とうこうさい)ができないので、異常が発生したら直ぐに整備士に報告します。

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到着ULDコンテナ取り卸し

ANA

ハイリフトローダー車を飛行機に装着後、機体に備わるPDUの電源ONにして、ULDの取り卸し作業を行います。

 

最初にお客様の預かった荷物の入ったULDを、一番最初に取り卸します。

そのため到着時でカーゴルームに搭載されたULDは、一番最初にお客様の荷物が入ったULDが取り卸しできるように、積み込みされています。

 

 

基本的に、右手でPDUのレバーを操作し、左手でハイリフトローダー操作盤のレバー操作を行います。

 

 

ULDを機体⇒サブデッキ⇒メインデッキへと移動させて、取り降ろしていきますが、この間にお客様も同時に降機しております。

 

つまり、お客様が降機した分、機体の重量も軽くなり、ハイリフトローダーのメインデッキとカーゴルームの高さに段差が生じます。

 

 

ULDを降ろしながら、高さ調整を行わないと取り卸しすることができず、段差が生じたまま強引に取り下ろすと、中身の荷物や貨物が荷崩れします。

 

 

カーゴルームの高さに注意を計らいながら、ULDを1、2台づつ降ろし、メインデッキまで移動後にエレベーターで下降します。

 

メインデッキがアフターデッキ部分と同じ高さまで下降後、メインデッキ⇒アフターデッキにULDを移動させ、スタンバイするドーリーに積み替えさせます。

 

 

アフターデッキまでULDを移動すれば、他の作業員がULDをドーリーに積み替え操作をしてくれますが、残りのULDが貨物室にあるため、直ぐにメインデッキを再上昇させます。

 

全てのULDを取り卸し後は、カーゴルームに残物がないか確認し、折り返し出発のULD搭載の準備を行います。

 

 

人員が少なく、車両機材に余裕がない場合は、一人で搭降載を行わなければならないので、取り卸しを行っていないフォワードまたは、アフターカーゴルームのULDの取り卸しを行います。

 

到着ULDを取り卸し後は、出発分の貨物ULDを搭載するので、次に解説します。

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出発ULDコンテナ搭載

荷物搭載

出発のULDは、基本的に貨物から積み込みを行います。

 

貨物を搬送する担当者から、無線を通じて搭載台数及び、搭載ポジションの情報を受け取ります。

 

この情報を下に、搭載までの間、ストッパーロックを固定したり、搭載しないカーゴルームのドアクローズを行ったりと、貨物ULDが到着するまでにやれることを行います。

 

 

機側に到着した貨物搬送担当からLDシートを受け取り、ULDの搭載ポジションを確認をします。

※LDシートとは、Loading Sheetのことで、飛行機が飛行中にバランスを崩さないように、あらかじめ計算された搭載指示書のことです。

 

LDシートがない状態での搭載は、原則禁止でもあり、確認なしの状態でULD搭載を行うと、ローダーとして失格となり、資格のはく奪の恐れがあります。

 

そのため、ULD搭載時は必ずローダーをはじめ、機側作業責任者及び貨物担当も、LDシートを見ながら搭載を行い、誤搭載が発生しないよう全員でチェックします。

 

 

貨物ULDが乗ったドーリーを、ハイリフトローダーのアフターデッキに装着後、到着作業で述べた注意点を下に出発分のULDを搭載します。

 

ULDコンテナの中身によっては、重量が1トン以上する物もあるので、航空機のカーゴルームに数台搭載すると反動で航空機が沈みます。

 

よって、出発時でも到着時の作業と同様に、ハイリフトローダーの先端と、カーゴルームが同じ高さであるか常時確認を行います。

 

 

全ての貨物を搭載後、お客様の預け荷物ULDをドアサイドに搭載します。

※ドアサイドとは、カーゴルームをオープンし、目の前に見えるポジションのことです。

基本的にドアサイドは、プライオリティのバゲージや優先バゲージ(ベビーストローラー)が入ったULDを搭載し、到着時に一番早く取り降ろし、出発時は一番最後に搭載します。

 

 

B767の場合、フォワード・アフターカーゴルーム共に、横1列のみの合計15台程のULDを搭載することが出来ます。

B777の大型機になると、ULDが2列、計30台程搭載ができる為、スピード力が大いに求められます。

 

 

時間内に搭載できないと、定刻出発ができず定時性に繋がってきます。

 

 

全ての貨物・手荷物ULDが搭載後に確認について、次の項目でお伝えします。

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全ての貨物及び預け荷物コンテナ搭載後の確認 

貨物、手荷物ULD両方を搭載完了後は、ローダー及びグラハン作業員の最低二人でLDシートと照らし合わせながら、搭載ポジションを確認します。

本来は、機側作業責任者と確認する事が望ましいのですが、機側作業責任者も他の確認等を行っているので、その場合ローダーと、別の作業員と一緒に確認を行います。

 

この時点で、出発時刻まで残り10分前となり、実質最終チェックとなります。

 

 

LDシートに記載されるコンテナナンバー及び搭載ポジション、ULDコンテナが飛行中に動かないようにストッパーロック、PDUの電源オフなど、確認する項目が多数あります。

 

 

 

念入りに確認する理由は、時速800キロ以上で飛行する航空機は、ストッパーロックを確実に施さないと飛行中に動きます。

 

ULDが飛行中に動くと機内に音が鳴り響き、搭乗するお客様に不安を抱いてしまいます。

 

また、万が一ストッパーロックを失脚したまま乱気流に遭遇すると、重大事故に繋がる恐れが生じるので、確信を持てるようにチェックをします。

 

 

全ての項目を確認して、問題なければハイリフトローダーを離脱させます。

まとめ

今回は、飛行機に預け荷物・貨物コンテナを積み込みするハイリフトローダー車について、解説しました。

 

ハイリフトローダー車は、他のGSE機材と比較して、全長も横幅も大きく、レバー操作も多くグラハンの作業では、上級クラスに値します。

 

ULDの取り卸し・搭載時は、常に高さに注意しないと飛行機に傷を負わせる事にもなり、最悪の場合、コンテナを落下させる恐れがあるので、集中力を持って作業を行います。

 

出発時の搭載は、LDシートを確認しながら行わないと、誤搭載の発生となり、飛行機の事故に繋がります。

 

PDUを操作しながら、ハイリフトローダーのレバーを操作し、LDシートも確認しなければならず、ULD搭載は非常に大変な作業です。

 

責任重大で、覚える内容が多いハイリフトローダーは、学習するまでに悪戦苦闘しますが、独り立ちすると仕事を任せられている感じです。

 

 

私の経験上、ハイリフトローダーは苦労した分、今となれば非常に楽しい作業だったので、グラハンを目指すのであれば、ハイリフトローダーも是非経験していただきたいです。

 

 

この記事が、飛行機に預け荷物・貨物コンテナを積み込みするハイリフトローダー車について、少しでも参考になれば幸いです。
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