この記事は2023年5月30日に更新しました。
こんにちは。
今回はグランドハンドリングの作業の一つ、飛行機の機内清掃についてお伝えしたいと思います。
・飛行機の機内清掃作業って大変なの?
・一日にどのくらいの飛行機の機内清掃を行うの?
・作業内容って難しい?
など、機内清掃は裏方の作業だから、実際にどのように行われているか、疑問に思われる方もいますよね?
私も機内清掃は、グランドハンドリングスタッフの人達がやるのではなく、外部に依頼していると思っていました。
結論から申し上げると、機内清掃は与えられた時間内に作業完了することが求められ、勤務によっては、平均7,8便の清掃を行います。
作業内容は難しくはなく、テーブルや掃除機、ゴミの処理等を実施します。
この記事では、実際に国内に就航する航空会社をはじめ、アジアやアメリカのエアラインで機内清掃を実際に経験した私が、
グランドハンドリングの機内清掃はバイトでもできるの?
旅客機の機内清掃業務はきついの?
旅客機の機内清掃は時間との闘い?
について解説させていただきます。
スポンサーリンク
グランドハンドリングの機内清掃はバイトでもできる?
機内清掃は基本的に社員の方が2,3名及び、アルバイト数10名で構成されるので、アルバイトの方がいないと機内清掃が成り立ちません。
アルバイトの方で年数や経験を積んで作業の流れを把握し、社員が不在時でもサブリーダーを任される方もいます。
アルバイトで入社すると各航空会社の座学教育を行い、次に実践訓練をして責任者もしくは熟練のアルバイトの下で、エコノミークラス座席の実技訓練を行います。
徐々に学習できると、次にラバトリー(トイレ)担当や、ギャレー(台所)担当など任せられ、最終的にはビジネスクラスやファーストクラスの清掃が出来るよう目指します。
エアライン毎に雑誌や機内の仕組みが変わるため最初は覚える事もありますが、経験を重ねれば自然と体が覚えます。
グランドハンドリングの機内清掃では特に資格は必要ないので、やる気がある方は基本的にどなたでも歓迎です。
作業員が多い分、好き嫌いな人が出やすい環境でもあるので、割り切って仕事をしないと精神面で疲れるかもしれません。
実際に機内清掃の作業はきついか否かに対して、次の項目でお伝えします。
スポンサーリンク
旅客機の機内清掃業務はきついの?
機内清掃は国内線か国際線によって業務内容が異なり、飛行機の機種によっても作業人員が異なりますが作業内容は至ってシンプルです。
しかしシンプル作業な分、一便の作業を素早く完了させる必要があります。
特にターンアラウンドタイム(飛行機の到着から出発までの間)は時間に制限があるので、グランドスタッフから早急に作業を終了させてほしいとプレッシャーを感じます。
沢山の作業員が機内に入るので、各自が全く同じ作業をすることは業務に支障をきたし、余計に時間も掛かってしまいます。
周りの状況を把握するために責任者が指示を行ったり、熟練者の方は遅いと感じた所はサポートに行くなど、全体の流れを見ます。
そのため機内清掃業務はグランドハンドリング全般作業同様に、コミュニケーションも非常に求められる作業です。
自分の担当した所だけを終わらせるだけでなく、全ての作業(掃除機・クリーニングなど)を、時間内に完了できれば理想的です。
機内清掃はきついというよりも、効率よく作業を終わらせることが出来るかがカギとなります。
では、実際に機内清掃は、どのくらいの時間内で作業を終わらせればよいか、次に説明いたします。
スポンサーリンク
旅客機の機内清掃業務は時間との闘い?
機内清掃業務の作業内容はシンプルですが、その分時間に追われる作業です。
例えば、国内線でのターンアラウンドタイムが40分の場合、お客様が降機してから10分以内に機内清掃を完了しなければならず、作業時間内に終わらないとレポート提出を求められることがあります。
私が以前勤務してた国内線の航空会社は、ターンアラウンド時に機内清掃はCAが実施しており、次便の準備もあるので慌ただしい様子でした。
ターンアラウンドタイムが長く、出発まで時間に余裕があれば、航空会社からも通常よりも時間的余裕ができるため、気持ちにゆとりが持てます。
航空会社は定時出発を目指すのは勿論、お客様の搭乗開始時間や、CAの保安チェックとキャビンの準備時間も踏まえるなど、常に時間に追われております。
飛行機の遅延で作業時間が短縮されようとも、機内清掃はしっかりとゴミを回収し、汚れや匂いなどを払拭し、シートベルトを整え整理整頓を行い、清潔ある機内に仕上げます。
しかし飛行機が大幅に遅延した場合、通常よりも作業内容を簡潔にする必要があります。
その場合、必要最低限の場所(雑誌のポケット、床面の掃除機掛け、ラバトリー(トイレ))の清掃を行います。
機内清掃を終わらせないと、CAの保安チェック作業に支障するので、終わり次第に速やかに退出します。
国内線と国際線の機内清掃の概要について、以下の通りにまとめてみました。
スポンサーリンク
到着から出発の便間での機内清掃のやり方 ~国内線~
飛行機がスポット(駐機場)に到着して出発までのターンアラウンド(便間)に行う、国内線の機内清掃作業は以下の通りです。
- 座席ポケットのゴミ処理
- とぶくろ・雑誌の補充
- トイレ掃除 など
機内に入るとトイレ清掃担当以外、一斉に座席ポケットのゴミ処理を前方もしくは後方から作業に入ります。
ゴミ処理が完了後に座席ポケットに足りない雑誌があれば、目印になるようにテーブルなどを開いておき、後で責任者が雑誌を補充していきます。
汚れがひどい箇所がある場合は、CAやグランドスタッフから連絡があるので、予め掃除機を所持しておきます。
清掃作業員は、ターンアラウンドタイムや機種によって人数が異なりますが、目安は以下の通りです。
- 小型機(ボーイング737、エアバス320など)・・・作業員5~8名
- 中型機(ボーイング767、エアバス330など)・・・作業員10~15名
- 大型機(ボーイング777、ボーイング747など)・・・作業員15~25名
ターンアラウンドタイムが短い分、作業内容も最低限の対応となります。
国内線の場合は機内食やアルコールの提供もなく、飛行時間も短いので目立った汚れもありません。
そのため作業時間の設定も短く、あっという間に終わってしまいます。
スポンサーリンク
到着から出発の便間での機内清掃のやり方 ~国際線~
飛行機がスポット(駐機場)に到着して出発までのターンアラウンドに行う、国際線の機内清掃作業は以下の通りです。
- 座席ポケットのゴミ処理
- とぶくろ・雑誌の補充
- トイレ掃除
- バキューム
- クリーニング(テーブル・窓拭き)
- ブランケット・枕カバー交換 など
基本的な作業は上記の通りですが、航空会社によって作業内容が異なり、ブランケットを再利用したり、枕カバーの交換がなかったりと規定が変わります。
機内作業員が機内に一斉で入ると、トイレ担当者以外は使用済みのブランケットを前方から回収して、座席ポケット清掃を前方もしくは後方から入ります。
座席ポケットの清掃と同時に、枕カバーも一緒に外しながら作業を行います。
全ての座席の清掃が終わると、クリーニングや掃除機掛け、新しい枕カバーに交換などを周囲の状況を見ながら、各作業員が分担して行います。
国際線機内清掃の作業員目安は以下の通りです。
- 小型機(ボーイング737、エアバス320など)・・・作業員10名
- 中型機(ボーイング767、エアバス330など)・・・作業員20~25名
- 大型機(ボーイング777、ボーイング747など)・・・作業員30~40名
国際線の場合はモニター画面や機内食もある為、搭乗時間も国内線と比較すると長くゴミも大量に発生します。
ターンアラウンドタイム時の機内清掃で、大型機でも大抵は30分以内で完了しなければならない場合も多く、作業内容も多く人員は必要です。
アメリカの航空会社では、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件の影響から、機内清掃と同時にサーチを行います。
※サーチとは、爆弾物や不審物がないかを確認するため、座席にある背もたれのクッションや、座面を触って不審物がないかを確かめる作業です。
シートだけではなく、ラバトリー内やクルーレスト内も同様に、サーチをします。
アメリカの航空会社では、清掃とサーチを含めた30分以内で作業完了できるようミッションが与えられます。
1分1分が貴重な時間となるので、周りの状況を確認して、遅れている所があればヘルプさせるなど、指示する責任者の役割も重要です。
スポンサーリンク
飛行機がステイ便での機内清掃 ~国内線~
最終便航空機が到着して、翌日まで運行がない便をステイ便と言います。
国内線のステイ便の機内清掃は以下の通りです。
- 座席ポケットのゴミ処理
- バキューム(掃除機)
- クリーニング(テーブル・窓拭き)
- とぶくろ・雑誌の補充
- ヘッドレストの交換
- ハットラック(荷物収納箇所)の拭き掃除
- トイレ掃除 など
国内線のステイ便作業は一日の終わり作業なので、便間作業に加えて上記の作業を行います。
その他にも販売品の補充等を実施しますが、商品の品質確保のためもあり(傷を付けないため等)、基本的には責任者が行います。
羽田空港や関西空港はステイ便も多く、ゆっくり作業を実施すると早朝までに間に合わないので、通常のターンアラウンドと同じ速さで作業を行います。
スポンサーリンク
飛行機がステイ便での機内清掃 ~国際線~
国際線のステイ便の機内清掃は以下の通りです。
- 座席ポケットのゴミ処理
- バキューム(掃除機)
- クリーニング(テーブル・窓拭き)
- とぶくろ・雑誌の補充
- ヘッドレストの交換
- ハットラック(荷物収納箇所)の拭き掃除
- クルーレスト(乗務員の寝室)
- ギャレーの清掃とゴミ処理
- トイレ掃除 など
国際線のステイ便は、国内線のステイ便作業と左程変わりありません。
出発便が無くても、トーイングで別の駐機場に移動させる作業が発生するので、便間でもステイ便でも、清掃作業は迅速に行わなければなりません。
国際線はシート別クラスも多く、CAや運航乗務員が使用するクルーレストも備わっているので、若干作業内容が多いですが難しい事は何一つありません。
まとめ
今回は、飛行機の機内清掃作業!やっている人が教える仕事内容からやり方を解説しました。
機内清掃は国内線・国際線とでは、作業内容が異なりますが基本作業は同じです。
狭い空間での作業となりますので、作業員も多く、声を掛け合うなどコミュニケーションをとって行わないと、作業を早く終わらせることが出来ません。
その為、自分の作業範囲だけでなく、周りの状況を確認しながら作業を行う事で、作業を完結させることが重要となってきます。
作業内容はシンプルですが、時間に縛りがあるので、清掃作業中は緊迫して慌ただしいですが、完璧に仕上げた時は、充実感を感じます。
機内清掃完了後は、速やかに別の機内清掃現場に向かうので、忙しいも事実ですが、大人数で作業を行うことが好きな人にとっては、同僚の年齢層の幅も広く、しかも外国人も多いこともあり楽しい職場です。
この記事が、飛行機の機内清掃に疑問を持つ方や、興味を持つ方にとって、参考になれば幸いです。
スポンサーリンク