ワールドトレーサー(World Tracer)の使い方!飛行機の荷物が未着や遅延した時の調べる方法

ワールドトレーサーグランドスタッフ

この記事は2023年5月30日に更新しました。

こんにちは。みのるです。

 

今回は海外旅行で頻繁に起こる荷物の未着(ロストバゲージ)の、追跡を調べる方法についてご説明します。

グランドスタッフはお客様の荷物が届かないと連絡を受け、手荷物捜索システムであるワールドトレーサー(world tracer)を使って預け荷物の行方を特定します。

 

そもそも

 

・ワールドトレーサーの使い方は難しいって聞くけど実際にどうなの?

・ワールドトレーサーを覚えないとグランドスタッフの仕事に支障が出るの?

・お客様自身で未着になった荷物の追跡をすることは可能なの?

 

など、ワールドトレーサーについて疑問を持つ方は沢山いると思います。

 

結論からお伝えすると、ワールドトレーサーは習得するには経験と努力は必要ですが、覚えなくても、チェックインカウンター業務や出発業務に影響はありません。

しかし、グランドスタッフで到着業務を担当する方は、手荷物が届かないとお客様の問い合わせも多く、覚えておかないと説明ができないので覚えなくてはなりません。

ですが、最近では行方不明になったお客様の荷物を、お客様ご自身で検索できるようになりました。

 

ここでは、行方不明になった手荷物のありかを調べる為に、ワールドトレーサーを何度も経験した元グランドスタッフが

 

・ワールドトレーサー(world tracer)の概要

・ワールドトレーサー(world tracer)の使い方

・ワールドトレーサーを覚えておくメリット

・荷物が未着の時に自分で調べる手荷物検索システム

ご説明させていただきます。

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ワールドトレーサー(world tracer)の概要

ワールドトレーサーとは、飛行機に搭乗するお客様で、預け荷物が行方不明になった時に荷物を探し出す時に、手荷物検索システムで荷物の在りかを調べます。

 

グランドスタッフの作業内容の一つであるworld tracerは、荷物の未着や誤搭載された荷物の情報を送るために、世界共通である電子フォーマットを使用して各国と情報のインプットして英語でやり取りします。

 

 

荷物が到着地に届かない理由はいくつかあります。

 

・出発地のマニラ空港で手荷物タグが切れてしまい、行先が不明になるケース

・チェックインカウンターエージェントのミスで、同時刻の日本行きの羽田(HND)とフィリピンのセブ島(CEB)を誤って手荷物タグを貼ってしまうケース など

 

このような場合、ロストバゲージになる可能性は高いです。

 

ロストバゲージについて更に詳しく知りたい方は下記の記事を参照ください↓

 

例えば、フィリピンのマニラから東京に搭乗の際に、空港の3レターが必要となります。

フィリピン(マニラ/MNL)⇒ 東京(羽田/HND

 

預け荷物の2個中1個が、到着地の羽田空港に荷物が来なかったとします。

現在預けた荷物がどこにあるのか詳細を突き止めるべく、グランドスタッフはお客様からの荷物の形状等の情報をもとに、ワールドトレーサーで手荷物の捜索を行います。

 

手荷物検索システムに情報が反映されておらず、こちらに荷物が届いていない場合は、オンハンドと言ってこちらからリクエストすることができます。

 

世界中の空港に探している荷物の詳細をワールドトレーサー通して、情報をインプットするので、お客様の預けた荷物の特徴をあらかじめ聞き取ります。

 

ちなみに、この手荷物検索システムは起動までに5分程時間を要するため、お客様を待たせないためにも、事前に立ち上げておくとスムーズです。

 

続いてはグランドスタッフが使用するワールドトレーサーの使い方についてご説明します。

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ワールドトレーサー(world tracer)の使い方

ワールドトレーサー使い方

実際にワールドトレーサーで行方不明になった荷物を探すためには、手荷物のタグナンバーなどコマンド入力して情報を引き出します。

 

≪例≫

全日本空輸(ANA/NH)を利用したお客様がフィリピン(マニラ/MNL)⇒ 東京(羽田/HNDの区間で行方不明になった手荷物を探す時にワールドトレーサーで入力するコマンドは以下の通り↓

 

WM  TNT  HNDNHΣTN NH123456
  1. WM…世界中の空港へ
  2. TNT…この手荷物の行方を調べてます。
  3. HNDNH…HNDは羽田 / NHは全日本空輸の2レター(羽田行きの全日本空輸を利用したお客様です。)
  4. TN・・・タグナンバー
  5. NH123456・・・預けた荷物番号

 

以上のコマンド入力をすると、出発地空港(マニラ)から事前に情報が入っている可能性があり、次便の送付・誤搭載などの内容情報が記載されています。

 

しかし、中には調べても何も情報が入ってないこともある為、その場合預けた荷物の詳細をお客様から聞いて未着レポート(AHL)を作成し、世界の空港に在りかを求める情報を発信します。

 

AHLを作成する時の情報を打ち込む内容は以下の通りです。

NM (NAME:お名前)       IT(イニシャル)

PA  (PERMANENT ADDRESS:住所

PN  (PHONE NUMBER:電話番号

FD  (FLIGHT DATE:搭乗便の日付

BR  (BAGGAGE ITINERARY:荷物の旅程

TN  (TAG NUMBER:手荷物の番号

CT  (COLOUR TYPE :預けた荷物の色

BI (BRAND INFOMATION:ブランド名

CC  (WORLD TRACER CONTENTS:内容

FI (FURTHER INFORMATION:今後の情報

BL  (BAG LAST SEEN :最後に荷物をいつ見たか

BW (BAGGAGE WEIGHT:荷物の重さ

TK  (TICKET NUMBER:旅券ナンバー

SI (SUPPLEMENTARY/INFORMATION:補足情報

AHL作成画面を開くと上記のような黒字2文字が出てくるので、荷物の詳細をインプットします。

 

AHL(未着)レポートに入力すると作成が完了し、最後に参照番号5桁の数字が出るので、必ず控えます。

 

お客様には預けた荷物のタグナンバーを紛失される方もいますが、当該便を利用したお客様の名前を検索で、預けた個数やタグナンバーを参照できるので問題はありません。

 

ワールドトレーサーはこれ以外に内容は幅広く多数のコマンドが存在します。

  1. 荷物破損コマンド
  2. 修正コマンド
  3. 事前情報コマンド入力
  4. 空港の3レターの調べ方 など

ワールドトレーサーを完全に覚えるのに半年から1年はかかります。

 

では、ワールドトレーサーを覚えておくメリットについて次に解説させていただきます。

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ワールドトレーサーを覚えておくメリット

ワールドトレーサーは覚えることが多く、全てを理解するのに時間と労力がかかりますが、世界共通の為どこの国でも使用する事ができて、どの空港でも扱うことができます。

 

ワールドトレーサーができる人は周りからも重宝されて、ご自身にとっても強力な武器となります。

 

世界のグランドスタッフの方達がワールドトレーサーで手荷物の情報を確認するため、英語でのインプット入力が必要ですが、簡単な情報を打ち込むのでライティングスキルは意味が通じれば問題ありません。

 

しかし、読解力とワールドトレーサーで使用する基礎コードを覚える必要があり、コードも沢山の種類があるので状況に応じて使い分ける能力が必須です。

 

 

また基礎コードの他に、ワールドトレーサー使用上で航空会社の2レター空港の3レターを把握する必要があり、キーワード順に打ち込まないとエラーが表示されます。

 

ワールドトレーサーはグランドスタッフの到着担当の他に、主にLL業務といったロストバゲージ専門に扱う部署が預けた手荷物の情報を追跡して、お客様遺失物センターの窓口として繋がります。

 

みのる
みのる

LL業務に配属された方は、ストレスや苦労の連続と聞いた事があります。

 

その理由は、お客様の荷物がロストバゲージになったので、クレームや問い合わせ件数が多く、尚且つ機嫌が悪い方が大半なのでお客様対応が大変です。

 

 

しかし、LL業務に配属した方曰く、自分を成長させてくれる部署だという方が多いのも事実です。

 

チェックインカウンターやゲート出発業務では、ワールドトレーサーを使う機会は滅多にありません。

ですがグランドスタッフで出発業務を指揮するD/S(Departure Supervisorは全てを把握しなければなりません。

 

D/S担当者は到着担当グランドスタッフに、事前情報を伝えることが可能なので、長年グランドスタッフを務める方はワールドトレーサーは是非覚える事をオススメします。

 

では、次に紛失した荷物の行方を自分で調べる事ができる手荷物検索システムについて解説します。

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荷物が未着時に自分で調べる手荷物検索システムの使い方

実際にロストバゲージの被害に合われた場合は、グランドスタッフやお問い合わせセンターで状況を聞く事が出来ますが、現在はパソコンから追跡することが出来ます。

 

それが「手荷物検索システム」です。

 

ANAやJALを利用して、ロストバゲージに合われた時はANA 手荷物検索システムJAL 手荷物検索システムで自分の荷物を探すことが出来ます。

 

JALのページに飛ぶと、照会番号と名前を順に打ち込んでいきます。

ワールドトレーサー

ワールドトレーサー

ワールドトレーサー

ロストバゲージの被害にあうとグランドスタッフから参照番号をもらうので、ご自身のお名前を打ち込むと現在の状況を確認できます。

 

ANAやJALだけでなく、他の外資系航空会社も同様のサービスを行っております。

 

利用した「航空会社 手荷物検索システム」で検索すると出てきますが、一部提供していないエアラインもあるので、ご自身でお確かめくださいね。

まとめ

今回は、ワールドトレーサー(World Tracer)の使い方!飛行機の荷物が未着や遅延した時の調べる方法について解説させていただきました。

 

ワールドトレーサーは、グランドスタッフが行方不明になったお客様の預け荷物のありかを、コマンド入力する事で情報の提供や詳細を得るために重要な技術スキルです。

 

その内容は、とても豊富で複雑であり時間をかけなければ学習する事はできません。

 

しかし、ワールドトレーサーを覚える事は世界中の人達と対応が出来るため、学習すれば強力な武器にもなります。

 

私も一度ワールドトレーサーに没頭した期間がありましたが、3カ月経っても中々覚えられず、一部のコマンドを覚えた時だけでも非常に感動した記憶があります。

 

グランドスタッフの業務は様々ありますが、私が経験した中でワールドトレーサーは、一番に学習したいスキルだったので是非習得して頂ければと思います。

 

 

現在は、お客様ご自身でパソコンから手荷物検索システムを使用して、荷物の追跡を行えることが出来るようになったので、ロストバゲージにあわれた方は活用してみてください。

 

この記事がワールドトレーサーに興味を持つ方に、少しでも参考になる記事であれば幸いです。
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