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この記事は2023年5月30日に更新しました。
ランプコーディネーターとは
航空機が指定されたスポット(駐機場)に到着すると、ランプコーディネーターはブロック・イン(到着した時間)を無線でディスパッチャー(運行管理者)に報告します。
運航さんどうぞ!20便ブロックインタイムは8:32分です。
ブロックイン・タイム8:32分了解しました!
航空会社が一番重要視してるのが安全で、その次に指定された時刻に出発させるための定時性が大切となります。
1分1秒が航空会社にとって信頼されるカギとなる為、ランプコーディネーターは定時制に出発するための時間を逆算し、関連セクション(キャビンアテンダント、グランドスタッフ、グランドハンドリングスタッフ)の間に立って時間を組んでいきます。
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ランプコーディネーターが行う時間管理とは?
- ブロックイン・ブロックアウト(出発した時間)
- お客様降機開始時間・降機完了時間
- CAの機内清掃時間・保安チェックに要する時間
- 搭乗口(ゲート)オープン時間
- 搭乗者の残り人数状況
- カウンタークローズ時間
- 手荷物搬送時間・搭載時間
- 搭乗口のゲートクローズ時間
- ドアクローズ時間
- 燃料補給の時間
ランプコーディネーターは定時運行するために時間を1分刻みで記録し、遅れて出発した際にどこで・どのタイミングで時間を要したのか捻出します。
乗客の人数や手荷物搬送時間など全ての項目に基準時間が定められており、作業要員に関する遅れや飛行機の到着遅れによる不可抗力時間と把握できます。
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ブロックイン(到着時間)・ブロックアウト(出発時間)
ブロック・インは到着した時間、ブロック・アウトは出発した時間を言います。
しかし、ATA(実際到着時間)が11:30だった場合、折り返し便のSTDまで10分までしかなく、この場合ディスパッチャーがディレイセットとして新たな出発時間を変更します。
グラハンが使用する航空用語は以下を参照ください↓
各セクション無線機を所持して作業を行う為、ランプコーディネーターが言うブロックイン・ブロックアウト時間はとても大切です。
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乗客の降機開始時間 ー 乗客降機完了時間
ランプコーディネーターは乗客の降機時間と降機完了時間を把握する必要があります。
例えば、到着でお客様が100人と300人では、全ての乗客が降機するまでに時間がかわりますよね?
100人なら3分で降機できますが、300人なら単純計算で9分かかります。
乗客によっては車椅子利用のお客様がいた場合、さらに降機時間を要するので車いすの乗客×人数で降機の所要時間も変わります。
グランドスタッフが対応する車いすケアについては下記を参照ください↓
車いすには3種類のタイプが分けられ、全く歩行できないWCHCの乗客がいると降機時間もかかりますが、ヒューマンエラーによる遅れではないので不可抗力扱いとなります。
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CAの清掃時間・保安チェックに要する時間
全ての乗客が降機後、ランプコーディネーターはCAに機内清掃時間タイムを指定します。
航空会社や国内線・国際線によって基準が定められており、小型機(A320)は8分、中型機(B767)は11分など、持ち時間内で仕上げる必要があります。
CAは機内清掃しつつ、次便の準備や保安チェックするための時間を考慮しつつ作業に励むためとても多忙ですが、時間内に終わらないとCAの遅れとなりレポート提出を求められます。
現在は国内線・国際線共に機内清掃をするグランドハンドリング会社が増えたのでCAは次便に向けての準備を専念出来ます。
機内清掃に関する作業内容は以下の記事を参照ください↓
国際線のCAでも自社で機内清掃するエアライン(香港エクスプレスなど)もありますが、主に小型機のみで中型機・大型機になるとグラハンが機内清掃を委託して行うことが主流です。
仮にグラハンが機内清掃で持ち時間内で終わらせることが出来ず、定時に出発できない場合はグラハン会社は遅延に伴う事情聴衆やレポートを出さなければなりません。
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ゲートオープン時間
全ての乗客が降機後、出発担当のグランドスタッフから出発便の情報を下にゲートオープン時間を決定します。
ゲートは基本的に出発時間の15分~20分前にオープンし、グランドスタッフは全ての乗客を時間内に搭乗させる必要があります。
スペシャルのお客様(車いす・目が不自由など)や出発の乗客人数など全てを把握し、ランプコーディネーターが搭乗時刻案内を決めて各セクション準備を整えます。
グランドスタッフは乗客が多い場合、セパレートボーディング(段階に分けて搭乗)をして機内の混雑を防いだり、車いすのお客様がいた場合は機内準備完了後に、すぐ搭乗できるよう、PBB途中まで案内して時間を稼ぎます。
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カウンタークローズ時間
カウンタークローズ時間は、グランドスタッフのカウンターインチャージからオールステーションで連絡が来ます。
カウンタークローズ時間も通常はSTDの15分前にカットですが、仮に13分前にカットして出発時間が遅れた場合、グランドスタッフのカウンタークローズによる遅延コードが付きます。
カウンタークローズ手前でJUMP IN(カットギリギリに来る人)のお客様がいますが、カウンターインチャージが状況見て、案内するか決定します。
グランドスタッフが使用する航空用語は下記を参照ください↓
私もカウンターインチャージの経験がありますが、カットした後にひどく落ち込むお客様がいて、救いたかったですが定時制のために腹をくくったことがあります。
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手荷物搬送時間・搭載時間
グラハンでは手荷物を搬送する際に無線でロードマスターに一報します。
カウンタークローズが遅延すると、預け荷物がベルトコンベアを通じてコンテナに搭載するにも時間に支障きたすので、グラハンは非が無いように無線で報告します
20便ロードマスターどうぞ、バゲージ担当です。
現在、バゲージカットに時間を要してるため出発が少し遅れます。
この一方をすることで、ランプコーディネーターは現状を把握してバゲージカットによる遅延での時間を把握出来ます。
バゲージカットも通常はSTDの15分前にカットされるので、無線で一報しないとグラハンによる手荷物搬送遅れのディレイコードが付くので、現状起きてる内容を無線で報告します。
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ランプコーディネーターの楽しい所
ランプコーディネーターは色んな部署と会う機会が多いので、グラハン業務だけでなく他部署の作業内容や流れを知ることが出来ます。
各セクションの作業内容を知ることは、知識やスキル向上が出来て経験として大きな財産を得るチャンスです。
例えば、グランドスタッフだとチケット発券方法を知ることが出来たり、ディスパッチャーとは運航ルートの見方など、必要ないと思われる内容が将来役立つことが意外とあります。
私もランプコーディネーターをやった際にグランドスタッフで車いすの取り扱いを教えてもらう機会があったおかげで、国際線グランドスタッフでは卒なくこなせたので、過去に教えてもらったおかげだと思ってます。
またランプコーディネーターは、様々な部署(CA、グランドスタッフ、ディスパッチャーなど)と関りを持つことが出来るので、グランドハンドリングスタッフよりも交流が深めることが早いです。
他部署と出会える可能性が圧倒的に多いので、交流を深めたい人にとってはランプコーディネーターは楽しいと思います。
グラハンやグランドスタッフの出会いに関しては下記を参照ください↓
ランプコーディネーターの大変な所
遅延には様々な要因があります。
- PBBが混雑して乗客が機内入り口で立ち往生する。
- 預け荷物のカット時間が遅れたことで、荷物の搬送が出来ない。
- 沖スポット(PBBなし)までバス移動で、目の前を航空機が横断で前進することが出来ない。
- 乗客がグランドスタッフにクレームして、搭乗を拒んでいる。
- 燃料補給に時間を有している など
どの場面が出発遅延に影響を及ぼしたのか、無線のやり取りや現場状況を常に目視して、理解しなければなりません。
定時制だけでなく乗客人数や手荷物個数も把握し、貨物の総重量や預け荷物の総個数、ゲートバゲージの発生有無、危険物のドキュメントチェックなど時間管理以外にも留めることが沢山あります。
手荷物の個数一つ間違えるだけで、航空機のウエイトバランスの影響に繋がったり、搭載荷物のアンマッチが発生など飛行機を飛ばすことが出来ません。
固定スポットではゲートから航空機入り口まで約1分ですが、沖スポットだとリムジンバスを使用するので、ゲートオープンからスポット到着まで約6.7分かかります。
沖スポットでは固定スポットよりも早めのゲートオープンし、乗客が搭乗するバスが間もなく到着する旨、CAに連絡する必要があります。
整備士からコックピットクルーに5分後エンジンスタートが開始できる準備及び、管制官との通信行うことで最終準備へと入ります。
一度私は5分前合図を忘れてしまったことがありましたが、その時は整備士から逆に聞いてくれたので助かりましたが、通常はミス扱いです。
航空機がブロックアウトして、ON TIMEや定時より早く出発すれば問題ありませんが、1分でも遅れたら、どこで時間を費やしたのか記録表を確認し、原因が掴めた個所の遅れた部署に対してディレイコードをつけます。
大幅遅延の場合は、担当セクションはレポート作成をしなければなりません。
逆に数分程度のディレイコードをつけられたセクション側から、ランプコーディネーター宛に抗議に関する問い合わせも幾度もあります。
ディレイコードをつけられたセクションを説得するための細かく記録を取らないと、口論に繋がります。
私の先輩で気が強いランプコーディネーターがいましたが、グランドスタッフによるディレイコードをつけて口論となり、電話越しで泣かしたと聞いたことがあります…
ランプコーディネーターも記録を下にディレイコードをつけておりますが、問い合わせが来ると都度対応しなくてはならないのが大変です。
まとめ
今回はランプコーディネーターとは?現役グラハンがわかりやすく解説しました。
結論を言います!
ランプコーディネーターは時間管理の仕事がメインですが、その背景には定時制というおおきな役割を担っており、とても貴重なことを知る機会でもあります。
大変な業務ですが、その分大きく成長できる場で、全体の流れを知るきっかけとなることは今後の大きな知識となります。
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